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インタビュー

子宮頸がんを防ぐために

子宮頸がんを防ぐために
堤 治 先生

山王病院(東京都) 名誉病院長

堤 治 先生

子宮頸がんは女性であれば誰でもかかる可能性のある病気です。年間約10,000人の方が子宮頸がんにかかるといわれていますが、最近では特に若い女性(20歳代から30歳代)で患者さんが増えてきています。

特に以下のような方が子宮頸がんになりやすいといわれています。

  • 若年齢で性交渉を開始した人
  • 性交渉相手数の多い人
  • 妊娠経験(出産回数が多い人)
  • ピルを長期服用している人
  • 喫煙
  • クラミジアなどの性感染症既往歴のある人

子宮頸がんは子宮の入り口部分に発生するので、普通の婦人科診察や検査で発見されやすいがんといえます。早期に発見すれば、比較的治療がしやすい予後のよいがんです。子宮を温存し治療後の妊娠も可能です。一方で進行すると治療が難しくなることから、早期の発見、早期の治療が重要ながんといえます。さらに今後はワクチンの普及により発病を予防することも可能になります。

子宮頸がんはヒトパピローマウイルス(HPV)の感染が引き金になって発生する病気です。したがって子宮頸がん予防ワクチンを接種し、ヒトパピローマウイルス(HPV)感染を防ぐことが、子宮頸がんの予防につながります。

また、子宮頸がん検診を定期的に受診することで、がんになる前の状態の異型上皮で発見でき、処置することができます。あるいは早期のがんで発見されれば、早期治療で子宮を温存することも可能です。

子宮頸がん予防ワクチンは、ヒトパピローマウイルス(HPV)感染を防ぐワクチンで、海外では100か国以上で使用されています。日本では2009年に承認され、一般の医療機関で接種することができるようになりました。1〜2回の接種では十分な抗体ができないため、半年間で3回のワクチン接種が必要です。ワクチン接種の効果は20年以上にわたり持続するといわれています。

ヒトパピローマウイルス(HPV)にはさまざまなタイプがあります。2009年に日本で市販が開始された2価ワクチンは発がんの可能性の高いHPV16型と18型の感染を防ぐワクチンです。十分な抗体をつくるためには半年の間に3回の接種が必要で、通常1回目の投与後、1か月と6か月目に筋肉注射します。2価ワクチンの場合HPV16型と18型以外のHPVには有効ではありません。投与を受けた女性も、子宮頸がんの検診は受診してもらう必要があります。2011年には、16型と18型以外に尖圭(せんけい)コンジローマの原因とされるHPV6型と11型の予防にも効果がある4価ワクチンも承認され選択肢が広がりました。4価ワクチンには尖圭コンジローマという疾患を防ぐ利点もあります。

2020年に承認された9価ワクチンは、さらに5つの型(31、33、45、52、58型)が予防の対象となります。

以前、子宮頸がん予防ワクチン接種後の副反応が社会問題となりました。これに関しては慎重な検討により接種勧奨が控えられていましたが、2022年4月より定期接種の積極的接種勧奨が再開されました。

子宮頸がん予防ワクチンを打ったからといって、子宮頸がんを100%予防できるわけではありません。ワクチンを打ってからも定期的に検診を受けることで、異型上皮(がんになる前の状態)の段階、がんになってしまった場合でも早期の段階で発見することが重要です。検診は全国の婦人科クリニックで可能で、医師による問診、内診、細胞診(子宮頸部の粘膜を採取)で5〜10分あれば完了します。25歳以上の女性は年に1度の頻度で子宮頸がん検診を受けることが望ましいです。

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