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糖尿病神経障害の基礎知識―下肢切断のリスク
糖尿病神経障害とは糖尿病神経障害は、神経周辺の酸素や栄養を送っている細い血管が障害されることに加え、代謝異常によりブドウ糖の代謝産物が過剰に神経に蓄積することが原因で生じる合併症です。神経は末梢...
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糖尿病神経障害の基礎知識―下肢切断のリスク

公開日 2015 年 04 月 08 日 | 更新日 2017 年 05 月 07 日

糖尿病神経障害の基礎知識―下肢切断のリスク
杉山 徹 先生

武蔵野赤十字病院内分泌代謝科部長

杉山 徹 先生

菅野 一男 先生

医療法人社団桜一会かんの内科院長

菅野 一男 [監修]

貴田岡 正史 先生

イムス三芳総合病院 内分泌内分泌(甲状腺)・代謝(糖尿病)センター長

貴田岡 正史 [監修]

糖尿病神経障害とは

糖尿病神経障害は、神経周辺の酸素や栄養を送っている細い血管が障害されることに加え、代謝異常によりブドウ糖の代謝産物が過剰に神経に蓄積することが原因で生じる合併症です。

神経は

  • 末梢神経
  • 自律神経

の二つに分類されます。糖尿病神経障害ではその両方が障害を受けるため、多彩な症状が出ます。

糖尿病神経障害の主な症状

糖尿病神経障害の主な症状

糖尿病神経障害の症状:末梢神経障害の場合

末梢神経は感覚神経(痛みや冷たさを感じる)と運動神経(手足を動かす)で構成されています。糖尿病神経障害の場合、主に感覚神経が障害を受けます。

以下のような症状が見られます。

  • 両足のしびれ
  • ピリピリ痛む
  • 感覚が鈍くなる
  • 裸足で砂利の上を歩いている感覚がする

このような症状が見られた場合には注意が必要です。

さらに進行すると感覚が無くなることもあります。痛みや熱に対する感覚を失ってしまうことに加え、血管の障害により足への血流が悪くなってしまったり、糖尿病によって細菌に感染しやすくなってしまったりしているなどの理由から、足壊疽(足が腐る)の原因となることもあります。フットケアがとても大切です。

こういった一連の症状は足の片側ではなく両側に出てくる(左右対称性、手袋靴下型)のが特徴です。進行すると足だけでなく、手にも症状が見られるようになります。これは、長い神経の方が痛みやすいということに由来します。

感覚障害の進行様式

感覚障害の進行様式

また、末梢神経障害は上記の症状に加え、

  • 腱反射(アキレス腱反射、膝がい腱反射)
  • 振動覚(音叉の振動を何秒感じられるか)
  • 位置覚(目をつぶって親指の向きを判断できるか)
  • 神経伝導検査

などの検査で診断を行います。

糖尿病神経障害の症状:自律神経障害の場合

自律神経は体の機能を調節する神経で、体温・脈拍・呼吸・血圧・涙や唾液や汗の分泌・胃腸の働き・心臓の働き・排尿・勃起機能など多くの機能がこれによって調節されています。したがって、これらが障害されるとその機能に障害をもたらします。

  • 唾液がうまく分泌できない→歯周病
  • 血圧がうまく調節できない→起立性低血圧(強度のたちくらみ)。立って尿をすると気を失ってしまう。食後に意識が遠のいてしまう
  • 胃や腸の働きがおかしくなる→消化不良、下痢や便秘を繰り返す
  • 膀胱の働きが低下する→尿の出が悪くなり、膀胱炎などにもつながる
  • 勃起するための神経障害→ED(インポテンツ)

糖尿病神経障害の治療

神経障害の治療は基本的には対症療法になります。きちんと血糖コントロールをすることが大切です。

1. アルドース還元酵素阻害薬

神経障害自体を抑える薬は今のところこれだけです。ブドウ糖の代謝産物が蓄積されることを防ぎます。

2. 血糖コントロール

なによりもこれが大切です。血糖コントロールが悪いと神経障害が進みやすくなります。

3. 対症療法

各症状に対して行う治療です。例えば、神経の痛みには痛みを和らげる薬、便秘ならば便秘のお薬などといった具合に、特定の症状に対して治療を行います。根本的な治療法ではありません。

糖尿病神経障害の予防-悪化を防ぐためには

きちんと血糖コントロールをすることが大切です。次のような項目に当てはまるような患者さんは、神経障害の発症、及び進展のリスクがさらに高くなります。よりいっそう注意をし、定期検査を怠らないようにしましょう。

  • 血糖コントロール不良
  • 糖尿病の長い羅患期間
  • 高血圧
  • 脂質異常
  • 喫煙
  • 飲酒

内分泌代謝内科・糖尿病・高血圧それぞれの専門医資格を持つ。糖尿病・内分泌・代謝疾患による血管障害についての基礎・臨床研究の経験を活かし、東京多摩地区の基幹病院にて患者の健康とQOL(生活の質)の両方を高める医療を目指している。若手医師やコメディカルスタッフの指導も担っている。

2008年4月1日に、三鷹駅南口に、糖尿病・内分泌疾患・内科専門の「かんの内科」を開設。東京医科歯科大学、武蔵野赤十字病院、糖尿病学会、内分泌学会などでの診療・活動を通じて培った経験を、糖尿病・高血圧症・高脂血症・甲状腺疾患・動脈硬化症(脳梗塞、狭心症・心筋梗塞、足壊疽)などで苦しんでいる患者さんの診療に役立てており、メタボリックシンドロームなどで明らかな症状のない方の動脈硬化を進ませないようにするためのアプローチにも重点をおいている。食事療法、運動療法を駆使し、必要に応じて最適な薬の選択を行い、元気に長く豊かな人生を楽しむためのサポートをするために経験豊富な専門医、専門看護師、管理栄養士、運動トレーナー、フットケア専門家が一体となっている。
内分泌専門医として、甲状腺疾患、下垂体・副腎疾患(原発性アルドステロン症、クッシング症候群、先端巨大症、プロラクチノーマ、尿崩症など)の診断・治療を行う。

北多摩地域の中核病院である公立昭和病院の内分泌・代謝内科部長として地域に根差した糖尿病治療を実践。加えて、NPO法人西東京臨床糖尿病研究会理事長として、糖尿病治療情報の共有および治療標準化を目指して、専門医、開業医間のネットワークを構築、専門的知識を持つ人材の育成等の活動を行っている。

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