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本人も家族も注意! 高齢者の糖尿病
現在、日本は世界に先んじて高齢化社会を迎えています。その中で、糖尿病の患者さんの6割から7割は65才以上であるというデータがあります。高齢者の糖尿病をきちんと管理していくにあたっては本人だけでな...
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本人も家族も注意! 高齢者の糖尿病

公開日 2015 年 03 月 16 日 | 更新日 2017 年 05 月 07 日

本人も家族も注意! 高齢者の糖尿病
植木 彬夫 先生

東京医科大学名誉教授

植木 彬夫 先生

菅野 一男 先生

医療法人社団桜一会かんの内科院長

菅野 一男 [監修]

貴田岡 正史 先生

イムス三芳総合病院 内分泌内分泌(甲状腺)・代謝(糖尿病)センター長

貴田岡 正史 [監修]

現在、日本は世界に先んじて高齢化社会を迎えています。その中で、糖尿病の患者さんの6割から7割は65才以上であるというデータがあります。高齢者の糖尿病をきちんと管理していくにあたっては本人だけでなく、家族にもきちんとその特徴を認識して頂く必要があります。糖尿病は自己管理がとても大切な病気です。しかし、糖尿病になると認知症になりやすいというデータもあり、認知症も高齢者の糖尿病患者さんの血糖コントロールを難しくしている一因です。

高齢者は糖尿病にかかりやすい

高齢者になると筋肉量が減っていきます。通常、筋肉にインスリンが作用することによりブドウ糖の取り込みが行われますが、筋肉が減ることでブドウ糖の取り込みが悪くなり、インスリン抵抗性が強くなります(インスリンの効きが悪くなることを言います)。

このインスリン抵抗性に加えて、年齢とともに食後のインスリンの出方が遅くなることが知られています。これらが原因で食事の後の血糖値が急激に上がることがあり、高齢者は1日の血糖値の変動が大きくなってしまうことが知られています。また、認知症がある場合は薬の管理ができなくなりますし、歯が抜ければ食事が変化し、一般的に運動不足にもなりがちです。これらの理由により、高齢者は糖尿病になりやすくなります。

高齢者は低血糖の症状を自覚しづらい

糖尿病の薬物療法の副作用として、血糖値の下げすぎにより引き起こされる低血糖が挙げられます。加齢とともに低血糖の自覚症状がなくなることを「無自覚性低血糖」と言います。また、高齢者ほど血糖値の日内変動が大きくなることが知られています。これらの要因により、高齢者は低血糖が重症化しやすいので注意が必要です。

このように、高齢者は低血糖のリスクが大きく、安易に薬を使い血糖値を急激に下げてしまうのは危険です。大切なことは急激な血糖値の変動を避け、おだやかな血糖コントロールを維持するように心がけることです。HbA1cの数字が良好に見えても、変動が大きく、低血糖になっている時間が長いと認知症にもなりやすくなってしまいます。

高齢者における糖尿病の薬物療法

高齢者の糖尿病では、ご本人やご家族、周囲の介護者がきちんと管理しやすい薬を選ぶ必要があります。効果がある薬を選ぶことも大切ですが、用法用量を守って安全に使うことの方が重要です。薬の種類としては低血糖をおこしにくい薬を選択することがポイントになります。経口薬で血糖コントロールが難しい場合は、基礎インスリン分泌を補うため1日1回のインスリン治療をすることもあります。

高齢者の方は、若い方に比べて少ない薬の数で適切な血糖コントロールが得られやすいことが知られています。これは、若い方と比較して、高齢者の方はあまり生活習慣が乱れないためではないかと考えられています。

高齢者における血糖コントロールの注意点

高齢者においては厳密な血糖コントロールには注意が必要です。従来、糖尿病では厳密に血糖値をコントロールした方が合併症も少なく、コントロールしない時と比べて生命予後も良いとされてきました。しかし、いくつかの糖尿病の研究で、高齢者では厳密に血糖をコントロールした方が合併症は減らせるものの、生命予後が悪くなるということが明らかになりつつあります。

こうした研究から、高齢者の糖尿病の方への血糖コントロールは、数値を重視した管理から個々の患者さんに合わせたアプローチへと変化してきています。HbA1cはあくまでも平均値であり、大切なのは変動が少ない緩やかな血糖値になっているかということです。

2013年の熊本宣言により、日本におけるHbA1cの目標値も変わりました。熊本宣言や今までの研究を踏まえると、高齢者の2型糖尿病患者さんのHbA1cの値の目安としては、合併症を防ぐために7%未満を目指しますが、低血糖が生じてしまったり、合併症などほかの理由で治療を強化できない場合には8%未満を目標にします。

参考文献

Glycemic Control, Complications, and Death in Older Diabetic Patients The Diabetes and Aging Study, Diabetes Care, (2011)

糖尿病治療多摩懇話会代表世話人などを通し、多摩地域における糖尿病診療のレベルアップに貢献している。糖尿病性神経障害、肥満などを臨床研究のテーマとしており、わかりやすい患者教育を心がけている。

2008年4月1日に、三鷹駅南口に、糖尿病・内分泌疾患・内科専門の「かんの内科」を開設。東京医科歯科大学、武蔵野赤十字病院、糖尿病学会、内分泌学会などでの診療・活動を通じて培った経験を、糖尿病・高血圧症・高脂血症・甲状腺疾患・動脈硬化症(脳梗塞、狭心症・心筋梗塞、足壊疽)などで苦しんでいる患者さんの診療に役立てており、メタボリックシンドロームなどで明らかな症状のない方の動脈硬化を進ませないようにするためのアプローチにも重点をおいている。食事療法、運動療法を駆使し、必要に応じて最適な薬の選択を行い、元気に長く豊かな人生を楽しむためのサポートをするために経験豊富な専門医、専門看護師、管理栄養士、運動トレーナー、フットケア専門家が一体となっている。
内分泌専門医として、甲状腺疾患、下垂体・副腎疾患(原発性アルドステロン症、クッシング症候群、先端巨大症、プロラクチノーマ、尿崩症など)の診断・治療を行う。

北多摩地域の中核病院である公立昭和病院の内分泌・代謝内科部長として地域に根差した糖尿病治療を実践。加えて、NPO法人西東京臨床糖尿病研究会理事長として、糖尿病治療情報の共有および治療標準化を目指して、専門医、開業医間のネットワークを構築、専門的知識を持つ人材の育成等の活動を行っている。

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