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インスリン治療の基礎知識―一生続くインスリン治療とやめられるインスリン治療
インスリン治療とは、血糖値を安定させるために本来必要なインスリンを補うものです。出来る限り生理的なインスリン分泌動態を再現することを目的としています。インスリン治療を用いるのはどんな時?インスリ...
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インスリン治療の基礎知識―一生続くインスリン治療とやめられるインスリン治療

公開日 2015 年 03 月 27 日 | 更新日 2017 年 05 月 07 日

インスリン治療の基礎知識―一生続くインスリン治療とやめられるインスリン治療
矢島 賢 先生

国家公務員共済組合連合会立川病院内科医長

矢島 賢 先生

菅野 一男 先生

医療法人社団桜一会かんの内科院長

菅野 一男 [監修]

貴田岡 正史 先生

イムス三芳総合病院 内分泌内分泌(甲状腺)・代謝(糖尿病)センター長

貴田岡 正史 [監修]

インスリン治療とは、血糖値を安定させるために本来必要なインスリンを補うものです。出来る限り生理的なインスリン分泌動態を再現することを目的としています。

インスリン治療を用いるのはどんな時?

  1. インスリンが絶対的に欠乏する1型糖尿病
  2. 薬剤を使用しても血糖コントロール維持が難しくなってしまった2型糖尿病
  3. 厳密な血糖コントロールが必要な糖尿病合併妊娠、妊娠糖尿病
  4. 高血糖による昏睡で緊急に血糖を下げる必要がある場合
  5. 重度の感染症・外傷・外科的手術の時

インスリン治療は、その用途によって意味合いがかなり違ってきます。例えば、1型の糖尿病患者さんは、足りないインスリンを補うために、一生インスリン注射を続けなくてはなりません。一方で、妊娠時や手術時に用いられるインスリンは、より厳密な血糖コントロールをするために用いられるもので、一時的な使用でよい場合がほとんどです。

インスリンはやめられる?

インスリン注射を続けることは、生活の面でも費用の面でも負担になります。このため患者さんから、「インスリン注射」をやめたいという相談を受けることがあります。インスリン治療をやめられるのはどのような場合か、見ていきましょう。

1. 1型糖尿病の場合

基本的にやめることは出来ません。稀に、ハネムーン期という血糖値が安定しインスリンが必要なくなる時期が訪れる場合がありますが、その状態が長く続くことはなく、その後必ず悪くなっていきます。医師の許可なしにインスリンを中止したり、受診を中断したりしてはいけません。

2. 2型糖尿病の場合

やめられる人はいます。始めた時の状態と、その後の血糖コントロールの状態によります。

  • インスリン注射をやめられない場合の例

長期にわたり経口血糖降下薬を服薬しているにもかかわらず、血糖コントロールが不良でインスリン療法をはじめた場合

  • インスリン注射をやめられる場合

比較的初期の段階で糖毒性を取り除くことを目的としてインスリンを始めた場合は、膵機能の回復の程度によってはやめられる場合があります。

いずれにせよ、ご自身の判断でやめてしまうことがあってはいけません。必ず医師に相談しましょう。

3.-5. 妊娠・手術・緊急時など一時的(一定期間)にインスリンを用いる場合

基本的にはやめることができます。この場合、インスリンは厳密な血糖コントロールを行うために用いられます。また、妊婦さんに経口糖尿病薬の使用は認められていないため、インスリンで治療することになります。

「インスリンを使う」と聞くと、一生続けなければならないのではないのかと勘違いされる方がいます。しかし、妊娠時や手術の際などには、一時的に内服薬からインスリンに切り替えることはありますが、多くは元の治療に戻すことができます。一時的なインスリン使用にはメリットが大きいことをきちんと認識しておきましょう。

インスリン製剤は生理的なインスリン分泌を補うもの

生体内でのインスリンの分泌は、常に一定量分泌される「基礎分泌」と、食事の後の血糖の上昇に合わせて一過性に分泌される「追加分泌」があります。インスリン製剤には数種類ありますが、生体内のインスリンの分泌を補うという意味では同様です。

基礎分泌は持効性、追加分泌は速効性

インスリンの種類と作用

インスリンの種類と作用

インスリンの種類は、大きく分けると長時間タイプである(「中間型」「持効型」)と短時間タイプである(「速効型」「超速効型」)の2つの種類に分けられます。生体内における基礎分泌にあたる部分が持効型(もしくは中間型)インスリン製剤によって、追加分泌にあたる部分が(超)速効性型インスリン製剤によって補われます。

投薬パターンは生活習慣に合わせて

糖尿病の患者さんの場合は、その重症度や生活習慣に合わせ、インスリンの使用方法は変わってきます。医師がその患者さんに適した回数や製剤の組み合わせを選択します。このパターンの決定の際には、患者さんは自分の生活習慣を正確に把握することが重要です。

下に例を示しておきます。参考にして下さい。

インスリン療法の例:症例に合わせて最も適した回数と製剤の組み合わせを選択

インスリン療法の例:症例に合わせて最も適した回数と製剤の組み合わせを選択

糖尿病および内分泌疾患の診療を専門とし、詳細な合併症の検索や丁寧な療養指導には定評がある。一般社団法人臨床糖尿病支援ネットワークにおいても活動し、地域の糖尿病診療のレベルアップに貢献している。

2008年4月1日に、三鷹駅南口に、糖尿病・内分泌疾患・内科専門の「かんの内科」を開設。東京医科歯科大学、武蔵野赤十字病院、糖尿病学会、内分泌学会などでの診療・活動を通じて培った経験を、糖尿病・高血圧症・高脂血症・甲状腺疾患・動脈硬化症(脳梗塞、狭心症・心筋梗塞、足壊疽)などで苦しんでいる患者さんの診療に役立てており、メタボリックシンドロームなどで明らかな症状のない方の動脈硬化を進ませないようにするためのアプローチにも重点をおいている。食事療法、運動療法を駆使し、必要に応じて最適な薬の選択を行い、元気に長く豊かな人生を楽しむためのサポートをするために経験豊富な専門医、専門看護師、管理栄養士、運動トレーナー、フットケア専門家が一体となっている。
内分泌専門医として、甲状腺疾患、下垂体・副腎疾患(原発性アルドステロン症、クッシング症候群、先端巨大症、プロラクチノーマ、尿崩症など)の診断・治療を行う。

北多摩地域の中核病院である公立昭和病院の内分泌・代謝内科部長として地域に根差した糖尿病治療を実践。加えて、NPO法人西東京臨床糖尿病研究会理事長として、糖尿病治療情報の共有および治療標準化を目指して、専門医、開業医間のネットワークを構築、専門的知識を持つ人材の育成等の活動を行っている。

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