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糖尿病の食事療法、血糖値を上げない食べ方
糖尿病では食事療法が大切血糖値は食事によって上昇します。しかし、食事の量や種類、そして食べ方を変えることで血糖値の上がり方を抑えることができます。そのため、すべての糖尿病患者さんで食事療法が必要...
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糖尿病の食事療法、血糖値を上げない食べ方

公開日 2015 年 04 月 14 日 | 更新日 2017 年 05 月 07 日

糖尿病の食事療法、血糖値を上げない食べ方
西村 一弘 さん

緑風会緑風荘病院 栄養室 健康推進部 主任

西村 一弘 さん

菅野 一男 先生

医療法人社団桜一会かんの内科院長

菅野 一男 [監修]

貴田岡 正史 先生

イムス三芳総合病院 内分泌内分泌(甲状腺)・代謝(糖尿病)センター長

貴田岡 正史 [監修]

糖尿病では食事療法が大切

血糖値は食事によって上昇します。しかし、食事の量や種類、そして食べ方を変えることで血糖値の上がり方を抑えることができます。そのため、すべての糖尿病患者さんで食事療法が必要になってきます。

食事療法は糖尿病の治療のうち、もっとも基本的な治療法の1つです。糖尿病の治療には、他にも運動療法や薬物療法などがありますが、食事療法がきちんと出来ていないと、運動療法も薬物療法も、その治療効果はなかなかあがりません。特に2型糖尿病の初期では、食事療法を確実に実行することで、病状を改善することが十分に可能です。

食事療法は糖尿病患者さんに限って必要というわけではありません。健康診断で、糖尿病の一歩手前と言われた方や、ご家族に糖尿病をお持ちの方がいる場合も、食事に注意することが必要です。早い時期から食事に気を付けて、インスリンを節約していくことで、糖尿病にならない、もしくはなったとしても重症化させないことが可能です。

適正なカロリー、エネルギー量とは?

食事療法の基本は、「適正なエネルギー量」「栄養バランス」「上手な食べ方」にあります。

では、「適正なエネルギー量」(カロリー)とはなんでしょうか。もちろん体の大きさによって必要なエネルギー量は異なりますし、一日中寝たきりの人と外でアクティブに活動される人でも異なってきます。

適正なエネルギー量は次の計算式で算出することができます

適正なエネルギー量(kcal/日)= 標準体重 (kg) × 生活活動量(kcal/kg)

「標準体重」はその人の身長に見合った体重のことで、身長(m)×身長(m)×22で算出されます。「生活活動量」は人によって異なりますが、通常の生活を送られている方であればおおよそ25-35(kcal/kg)と思ってください。

たとえば、身長170cmのサラリーマンであれば適正なエネルギー量はどの程度でしょうか。
この方の標準体重は 1.7×1.7×22=64kgです。したがって適正なエネルギー量は 64×25~35なので1600kcal~2200kcalと計算されます。最近の飲食店では食事のエネルギー量を表示しているところが多いので、参考にしてください。

上記計算式はあくまでも目安で、治療の現場では患者さんそれぞれの体重変化を見ながら、適正なエネルギー量を調整することがほとんどです。たとえば、計算上適正なエネルギー量を食べている患者さんの体重が予想以上に減り続けてしまった場合は、エネルギー量を増やすなど、体重を見ながらの微調整が必要になります。

目標とする体重も「標準体重」は一つの目安になりますが、「20歳の頃の体重」を目指すというアプローチもあります。20歳は多くの人にとって成長期が終わったタイミングでもありますので、その頃の体重が一番バランスのとれた体重であるという考え方があります。標準体重を計算するのが大変だと思う方は、20歳の頃の体重を目安にするとよい場合もあります。

栄養のバランスをとる―食品交換表

全体のエネルギーの中で、どのように配分をするのかを考えなければなりません。PFC比率(Protein=タンパク質、Fat=脂質、Carbohydrate=炭水化物)と呼ばれていますが、3つの栄養素のバランスをきちんとした割合でとることが重要です。一般的には指示エネルギー量の50-60%を炭水化物から摂取し、さらに食物繊維が豊富な食物を選択します。タンパク質は、成人の場合標準体重1kgあたり1.0-1.2gとして、残りを脂質としますが25%以下とすることが望ましいとされます。ただし、患者の合併症、肥満度、施行などに配慮します。

このバランスで食事をとってくださいと言われても、多くの方は困ってしまうと思います。そういった方の参考のために日本糖尿病学会が食品交換表を出しています。食品交換表は、日常食べている食品を主に含まれる栄養素によって6つに分けています。たとえば炭水化物を多く含む食品である穀類は表1、タンパク質を多く含む肉は表3というように分けられています。

栄養素で分けられているだけではなく、食品交換表ではそれぞれの食品を80kcalの単位であらわしています。2単位であれば160kcalということになります。同じ表の中では、食べ物を交換(魚と肉を交換するなど)しても構わないことから食品交換表と名付けられています。

食品交換表を見て、それぞれの食材にどのような栄養素が多く含まれていて、どれくらいのエネルギー量なのかをみることにより、「適正なエネルギー量」で「栄養バランス」のとれた食事をとることができます。

ただし、多くの患者さんにとって、この食品交換表を使いこなすことはなかなか難しいのが現状です。それよりも日々の自分の食事を記録にとって、それを栄養士さんに見せてアドバイスをもらって調整していく方が現実的かもしれません。

血糖値をあげない食べ方:野菜を先に食べることが重要

最近はテレビでも「ベジファースト」と言われています。これは、野菜から先に食べることで、これにより食後の高血糖を防ぐことが出来ます。まずは食物繊維を先にとって、タンパク質や炭水化物を後に回すことが基本です。

2型糖尿病の患者さんの場合は、血糖値を下げるホルモンであるインスリン分泌の立ち上がりが遅れています。健康な方の場合だと、食事を食べ始めるとインスリンがすぐに立ち上がるので、食事をしていてもきちんと血糖が下げられます。一方で、2型糖尿病患者さんの場合は、インスリンの立ち上がりが遅くなるために、早い段階で炭水化物などを食べると、インスリンが間に合わずに高血糖の状態になってしまいます。先に食物繊維を食べておいてインスリンの分泌をはじめながら、インスリンが出始める食事の後半に少しずつ炭水化物など血糖値を上げやすい食べ物を食べることで食後の高血糖を防ぐことができます。

また、よく噛んでゆっくり食べることも重要です。野菜を食べる順番を先にしても、短時間で食べてしまうとインスリン分泌が間に合わずに高血糖になってしまいます。

糖尿病に「良い食べ物」と「悪い食べ物」

前に書いた「正しい食べ方」ともかかわってきますが、食物繊維を多く含みながらカロリーが少ない食品は、血糖の上昇を抑える効果があるのでお勧めの「良い食べ物」です。たとえばこんにゃく、キノコ、海草などがあげられます。食事の最初のタイミングでそれらの前菜などを食べることで、糖質の吸収を遅くすることが期待できます。

一方で「悪い食べ物」はすぐに消化が出来て、血糖を上げてしまうような食べ物です。うどんなどの炭水化物やビールなどの嗜好品があげられます。たとえば、お通しで出てきたこんにゃくを食べ始めて10分程度たってから、ビールを飲み始めれば血糖の上昇を軽減する効果が期待できます。

糖尿病の栄養療法における第一人者。2型糖尿病においてまず最初に患者が取り組まなければならないことは栄養療法であり、この分野で非常に重要な役割を果たしている。日本糖尿病学会では評議員の一人として、栄養療法をさらに発展させるべく活動している。

2008年4月1日に、三鷹駅南口に、糖尿病・内分泌疾患・内科専門の「かんの内科」を開設。東京医科歯科大学、武蔵野赤十字病院、糖尿病学会、内分泌学会などでの診療・活動を通じて培った経験を、糖尿病・高血圧症・高脂血症・甲状腺疾患・動脈硬化症(脳梗塞、狭心症・心筋梗塞、足壊疽)などで苦しんでいる患者さんの診療に役立てており、メタボリックシンドロームなどで明らかな症状のない方の動脈硬化を進ませないようにするためのアプローチにも重点をおいている。食事療法、運動療法を駆使し、必要に応じて最適な薬の選択を行い、元気に長く豊かな人生を楽しむためのサポートをするために経験豊富な専門医、専門看護師、管理栄養士、運動トレーナー、フットケア専門家が一体となっている。
内分泌専門医として、甲状腺疾患、下垂体・副腎疾患(原発性アルドステロン症、クッシング症候群、先端巨大症、プロラクチノーマ、尿崩症など)の診断・治療を行う。

北多摩地域の中核病院である公立昭和病院の内分泌・代謝内科部長として地域に根差した糖尿病治療を実践。加えて、NPO法人西東京臨床糖尿病研究会理事長として、糖尿病治療情報の共有および治療標準化を目指して、専門医、開業医間のネットワークを構築、専門的知識を持つ人材の育成等の活動を行っている。

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