インタビュー

インフルエンザの予防について

インフルエンザの予防について
岩田 健太郎 先生

神戸大学大学院医学研究科 感染治療学分野 教授

岩田 健太郎 先生

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この記事の最終更新は2015年05月16日です。

インフルエンザを予防するにはどのようにすればよいのでしょうか。神戸大学感染治療学教授の岩田健太郎先生は、「日常生活を送っている限り、予防のための決定打というものは存在せず、普段から健康にしておくことがとても大切」と言います。インフルエンザの予防と、ワクチンやマスク、手洗いなどについてどのように考えるべきなのか、お話しいただきました。

参照:インフルエンザワクチンを打つべき人とは
インフルエンザワクチンの接種とは、不活化ワクチンの皮下注射または筋肉注射です。抗体獲得(効果が出る)までに約2週間かかり、効果は約5か月継続するとされています。秋口くらいに打つのがよく、次の年はもう一度打つ必要があります。打ったからといってインフルエンザに100%感染しないわけではありませんが、ワクチンを打つことで相対的にリスクを減らすことができます。副作用はほとんどなく、もっとも安全なワクチンの1つであるといえます。

インフルエンザの予防という観点において、マスクは限定的な効果しかありません。また手洗いについても、インフルエンザの予防という観点から考えると、インパクトは非常に限定的であると考えることができます。また、うがいに関しては、そもそも感染症の予防効果としては、「やってもやらなくても変わらない」という程度の、微々たるものだと考えています。ちなみに自分自身に関して言えば、うがいはしていません。

参照:予防投与についての考え方)
家族など、周囲の人がインフルエンザになってしまったとき、とりわけ、たとえば受験前に家族がインフルエンザにかかってしまった場合など、オセルタミビルの予防内服は一定の効果があり、1つの選択肢として考えるとよいでしょう。

ここまでインフルエンザの予防についてお話ししてきましたが、何より大切なのは、きちんとした食事と睡眠を取り、休憩をきちんと取る、ストレスをためないという基本的なことです。普段から健康に、元気にしておくことこそがインフルエンザや感染症を防ぐためには重要なことなのです。

しかし、本気でインフルエンザになりたくないのであれば外に出ないのが一番です。インフルエンザは飛沫感染です。感染症というのはそもそも感染経路さえ遮断してしまえばなることはありませんから、外に出なければインフルエンザワクチンよりもよっぽど確実に予防ができます。「リスクをゼロにしたい」という極論を言う方に対してはこのような答え方をすることもあります。

しかしこれでは、「交通事故にならないためには外に出ないのが一番よい」というのが「交通事故にならないための人生」になってしまうのと同様、「インフルエンザにならないための人生」になってしまいます。精神衛生上もよいはずはなく、もちろん、おすすめできるものではありません。

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