インタビュー

マラリア―その診断と治療方法は?

マラリア―その診断と治療方法は?
青柳 有紀 先生

ダートマス大学 Clinical Assistant Professor of Medicine

青柳 有紀 先生

この記事の最終更新は2015年04月28日です。

旅行のときに気を付けるべき病気としてよく挙げられるものの一つに、マラリアがあります。このマラリア感染の90%近くがアフリカで起こっています。アフリカのルワンダで感染症医として活躍している青柳先生に、マラリアをどのように診断するのか、どのような治療法があるのかについて伺いました。

「血液スメア」という、採取した血液をスライドグラスにうすく伸ばして、マラリア原虫がいるかどうかを顕微鏡で見るという方法が一般的な診断法です。1回の検査でマラリア原虫が見つかるとは限らないので、12時間ごとを目安に最低でも3回の検査が行われます。

時間も労力も非常にかかる検査なので、最近では数滴の血液があれば検査可能な迅速診断法も開発されてきています。ただし、残念ながらまだ精度が十分に高くないこともあり、日本では認可されておらず、あまり一般的ではありません。

まず理解していただきたいのは、マラリアの治療の原則は早めに治療を開始することであるという点です。診断が遅れて治療開始が遅くなってしまうと、重症化してしまいます。蚊に刺されてからマラリアの症状が出てくるまでの潜伏期間は、一般的には1週間から3週間程度と言われています(ただしマラリアの種類によって異なります)。したがって、流行地から帰国後数週間で発熱があった場合は、早めに医療機関に受診するようにしましょう。

発病してから早いタイミングでの治療であれば飲み薬、遅いタイミングで病状が重くなってしまった場合には点滴による治療が行われます。また、マラリアの種類(熱帯熱マラリアかそれ以外の種類のマラリアか)によって、用いられる薬剤が異なります。

代表的な薬剤としては、クロロキン、メフロキン塩酸塩、アトバコン・プログアニル合剤、アルテスネイト・ルメファトリン合剤などが知られています。

どのタイプの薬剤を使用すべきかに関しては専門的な判断が必要です。そのため、もしもマラリアであることが確定したのであれば、感染症に関して専門的な医療機関を受診する必要があります。一部の抗マラリア薬は胎児に悪影響を与えることもあるため、特に妊婦さんの治療においては、より慎重な判断が必要です。

マラリア治療に関する相談場所(厚生労働省検疫所 FORTH)
http://www.forth.go.jp/keneki/kanku/disease/malaria/malchiryo.html

海外での医療機関情報(外務省ホームページ)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/medi/

  • ダートマス大学 Clinical Assistant Professor of Medicine

    青柳 有紀 先生

    国際機関勤務などを経て、群馬大学医学部医学科卒。米国での専門医研修後、アフリカ中部に位置するルワンダにて、現地の医師および医学生の臨床医学教育に従事。現在はニュージーランド北島の教育病院にて内科および感染症科コンサルタントとして勤務している。日本国、米国ニューハンプシャー州、およびニュージランド医師。

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