インタビュー

更年期障害の診断と治療―上手に乗り切るために

更年期障害の診断と治療―上手に乗り切るために
太田 博明 先生

藤田医科大学病院 国際医療センター 客員病院教授、川崎医科大学 産婦人科学2 特任教授/川崎医...

太田 博明 先生

この記事の最終更新は2015年05月07日です。

多くの女性にとってかかる可能性のある「更年期障害」。この症状や原因については、別記事で詳しく説明しました。では、具体的にどのような症状が現れた場合、医師の診断を受けるべきなのでしょうか。また、その場合はどの科を受診すればいいのでしょうか。具体的な治療についての解説も含め、山王メディカルセンター・女性医療センター長の太田博明先生にわかりやすくご説明いただきました。

更年期障害とは、更年期の年代の不定愁訴(一定しない具合の悪さ)症候群のうち、器質的疾患(原因疾患のある場合、例えば甲状腺機能低下症など)と中等度以上の神経症、うつ病、ヒステリーを除外したものです。5大症状である「のぼせ、ほてり、発汗、抑うつ、不眠」のうち、生活の質に最も影響する症状は「抑うつ」で、次に「不眠」です。

更年期障害は、「我慢すれば治る」という種類のものではありません。正しい知識を持ち、更年期障害を自覚することが大切です。また同時に、家族など周囲の人が気付いてあげることも大切でしょう。

日常生活に影響が出るほどになれば、医師の診断をきちんと受けて治療を行う必要があります。最もよいのは、更年期外来のある婦人科を受診することです。また、特に抑うつの症状が強い場合などは、心療内科を受診するのもよいでしょう。

更年期障害の治療には、主にホルモン補充療法(HRT)と漢方療法の2つがあります。一般的にHRTは「のぼせ、ほてり、発汗、腰背痛、神経質、頭痛、抑うつ、不眠、手足のしびれ」を、漢方薬には「倦怠感、冷え、腰背痛、神経質」を抑える効果があります。ただし、「肩こり、関節・筋肉痛」にはこれらの薬剤の効果は少なく、他の薬物療法を考慮する必要があります。また「心悸亢進(急にドキドキしたりする症状)」の場合、薬剤よりもカウンセリングなどが有力な治療法となります。

更年期障害は、更年期の年代の20%程度の方が治療対象となっていますが、40%程度の方は治療に至らなくても心身の不調を感じています。したがって、60%位が自覚し、残りの40%は何も感じないということになります。更年期障害において大事なことは、人生のある時期にだけ出現する症状で、長くても4~5年しか続かないということです。決して一生続く症状ではありません。症状に振り回されることなく、上手に更年期を乗り切ってください。

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