インタビュー

てんかんと日常生活1――お酒はNG、コーヒーはOK

てんかんと日常生活1――お酒はNG、コーヒーはOK
中里 信和 先生

東北大学大学院医学系研究科 てんかん学分野教授

中里 信和 先生

この記事の最終更新は2015年05月29日です。

てんかんがあり、抗てんかん薬を服用している方は、日常生活を制限されてしまうのでしょうか。発作を防ぎ、健康な人と同じように生活するために気をつけたいいくつかのポイントをご紹介します。

てんかんとお酒は相性がよくありません。飲酒すると、以下の3つの理由によって発作を引き起こしやすくなるのです。発作がコントロールできていないうちは飲まないほうがよいでしょう。

お酒は直接脳に作用して発作を起こしやすくします。大量飲酒でけいれんを起こすこともあります。

お酒は睡眠の質を下げます。お酒は寝付きがよくなるように見えて、実は睡眠を浅くし、翌日睡眠不足を引き起こします。睡眠不足によって発作が起こりやすくなってしまいます。

アルコールは肝臓で代謝されますが、薬も同様に肝臓で代謝されているので相互作用が起きます。

以上の理由から、てんかんの患者さんには「禁酒」を強くおすすめします。発作がコントロールされているときも、家族が見ているときに少量飲むという程度にしておいてください。少量に留めるほうがかえって難しいと感じるのであれば、やはり禁酒したほうが賢明です。

また、お酒を飲んでしまったからといって、薬を中断するのは絶対にしないでください。たとえお酒を飲んでしまったとしても、薬は医師からの指示どおり服用することが大切です。

てんかんと誤診されている方の中にはアルコール依存症の方もいます。アルコール依存症では、アルコールが切れると離脱症状として全身がけいれんすることがあるからです。

コーヒーは、てんかん発作を引き起こす要因ではありません。コーヒーは飲んでも問題ありません。ただし、あくまで常識の範囲内で楽しんでください。てんかんの有無にかかわらず、10杯以上飲むと命に関わることがあるので、飲みすぎは禁物です。

たばこを吸っても、てんかんのリスクが高まるわけではありません。てんかんの治療という面から見れば、禁煙する必要はありません。

ただし、たばこが健康への悪影響を及ぼすことは明白です。ほかの病気の原因にはなりうるので、禁煙するに越したことはありません。

また、意識を失う発作を起こした際、たばこの火による火傷や火事のリスクはゼロではありません。火元には十分気をつけたほうがよいでしょう。

ストレス自体がてんかんに直接何らかの影響を与えるというわけではありませんが、過度なストレスによって睡眠の質が落ちるなどして睡眠不足になるとよくありません。睡眠不足だと発作が起きやすくなるためです。

とはいえ、現代社会において、ストレスがまったくないというのは考えにくいことです。運動など、自分なりのストレス解消法を見つけ、ストレスを上手に処理できるよう工夫していきましょう。

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