インタビュー

てんかんの助成制度1――自立支援医療制度で医療費の負担を減らす

てんかんの助成制度1――自立支援医療制度で医療費の負担を減らす
中里 信和 先生

東北大学大学院医学系研究科 てんかん学分野教授

中里 信和 先生

目次
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この記事の最終更新は2015年06月05日です。

てんかんと診断された場合、一部の例外を除いては、抗てんかん薬を生涯服用していくことになります。長期間にわたる治療なだけに、医療費の負担は大きくなりがちです。そんなときに利用したいのがさまざまな福祉制度。主に3つの制度があります。今回は「自立支援医療制度」を紹介します。

それぞれの福祉制度をご説明する前に、てんかんという病気の認識についてご説明します。日本の福祉制度を利用する際、てんかんは精神疾患に分類されています。「自分は精神障害者なのだろうか」と思われる方もいるかもしれませんが、これはあくまでも制度上の分類です。医学的には脳の病気であり、精神疾患ではありません。

てんかんによる精神症状が出るケースもありますが、精神症状がみられない場合でも、これらの福祉制度は利用することができます。

「自立支援医療制度」とは、てんかんを含む精神科の病気と診断され、通院治療が必要な方に対する助成制度です。医療費の負担を減らすことが目的で、大きく2種類のサポートが受けられます。

病院やクリニックでの通院治療のうち、公的保険に適応する治療の自己負担額は、通常は3割です。しかし、自立支援医療制度を利用することで、負担が1割になります。対象となるのは外来での診察・投薬・検査・往診・訪問介護・デイケアなどです。

自立支援医療制度では、1か月に支払う医療費の上限が決まっており、それを超えた場合には支払いが免除されます。上限額は患者さんの所得によって異なります(表A参照)。所得は、通院する患者さんと同じ保険に加入している人を「世帯」として、世帯あたりの所得を計算します。

表 A :所得別医療費負担上限額
参考文献:渡辺裕貴(2014)『てんかんのある人が利用できる福祉制度 3つのサポート』

自立支援医療制度の有効期限は1年なので、毎年更新が必要です。認定された際に交付される「自立支援医療受給者証」「自己負担上限額管理票」を病院や薬局を利用する際に毎回提示しましょう。

自立支援医療制度の利用申請は、市町村の窓口で行います。窓口の名前は自治体によって異なりますが、「保健福祉課」などという名前のところが多いです。不明な場合は、「自立支援医療制度の申請をしたい」と伝えて窓口を教えてもらいましょう。
手続きに必要なものは4つです。

市町村の窓口にある申請書に記入したものを持参しましょう。医療機関でもらえる場合もあります。

通院している医療機関の医師の診断書が必要です。申請日から3か月以内に記入されたものに限ります。この制度の対象になるのは、「指定自立支援医療機関」に限られています。事前に医療機関に確認をしましょう。

課税証明書、非課税証明書、生活保護受給証明書など、世帯の所得を確認できる書類を用意します。市町村の窓口で手に入るものがほとんどです。

加入している医療保険の被保険者証、被扶養者証、組合員証などです。世帯全員の名前が記載されているものを持参しましょう。コピーで大丈夫です。

以上は一般的な例です。市町村によっては必要な書類などが異なる場合もありますので、窓口で確認してみてください。

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