インタビュー

腟トリコモナス症とはどんな病気?―臭いがあったら疑う病気

腟トリコモナス症とはどんな病気?―臭いがあったら疑う病気
尾上 泰彦 先生

プライベートケアクリニック東京 院長

尾上 泰彦 先生

この記事の最終更新は2015年07月25日です。

「性感染症」というテーマは、日常生活の中ではなかなか話題にしにくいものかもしれません。しかし、性感染症の知識は、私たちがきちんと身につけておかなければならないものです。

さまざまな性感染症について、性感染症学会の代議員としてわが国における性感染症予防・治療を牽引し、ご自身の診療所でも長きに渡り性感染症の患者さんと向き合われてきた尾上泰彦先生に伺います。今回は「腟トリコモナス症」についてのお話です。

腟トリコモナス症とは、「腟トリコモナス原虫」が性器内部に侵入することでおきる感染症です。男性はあまり症状が出ませんが、女性では症状が強く生じます。腟感染症であるので、産婦人科ではトリコモナス腟炎だけでなく、子宮頸部癌、HIV感染や卵管炎などとの関連性、早産前期破水などの妊娠に与える影響なども注目されています。

他のSTIと異なり、中高年者でもしばしば見られるなど感染者の年齢層が非常に幅広いのが特徴です。また潜伏期間は10日前後と言われています。

女性の場合は外陰、腟への強い刺激感、掻痒感(かゆいこと)や熱感がでて、悪臭を伴う腟分泌物が増加します。
男性はほとんど症状はありません。出るとしたら、極めてわずかな尿道分泌物といった症状や、尿道のかゆみ、違和感、不快感といった症状が出ます。トリコモナスは感染すると前立腺や精嚢などに浸入し長く生き続け、時々尿道に出てきたら尿道炎の症状をあらわすと言われています。

腟トリコモナスは性感染症(STI)の中でも典型的なピンポン感染(カップルで同時に治療しない限り、感染し続けること)を起こしますし、感染している妊婦から新生児への垂直感染もあります。また、性交の経験がない女性や幼児でも感染がみられることから性行為以外に、身につける下着、タオル、便器や浴槽などに触れることによる感染などが知られています。トリコモナスは乾燥には非常に弱いのですが、水中では強くかなり長時間感染性があります。このことが、浴槽などを介した家族内感染と関係があると考えられます。

無染色生標本の顕微鏡検査で腟の新鮮な分泌物から活発に運動するトリコモナスを確認します。もしくは培養検査で確認します。

女性の場合は一般的にメトロニダゾールの経口投与と腟錠による局所療法の併用を10日間行います。
男性の場合はメトロニダゾールの経口投与を行います。また、男性はトリコモナスの検出が大変難しいため、パートナーがトリコモナスと診断された場合は治療が必要となります。

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