インタビュー

糖尿病網膜症の症状—代表的な症状がないからこそ眼底検査が重要

糖尿病網膜症の症状—代表的な症状がないからこそ眼底検査が重要
小野 浩一 先生

順天堂大学  医学部 眼科学講座 准教授

小野 浩一 先生

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この記事の最終更新は2015年08月31日です。

糖尿病網膜症は、糖尿病により引き起こされる目の病気です。糖尿病の三大合併症のひとつとしても有名であり、最悪の場合、それが原因で失明に至ることがあります。失明の原因としては、減ってきてはいるものの、糖尿病網膜症が依然2番目に多いものとなっています(1位は緑内障)。
糖尿病網膜症ではどのような症状が現れ、どのように症状が進行するのでしょうか。また、悪化に早く気づくためにはどうすれば良いのでしょうか。
ジョンズホプキンス大学を経て、現在は順天堂大学眼科学准教授を務められる小野浩一先生に、糖尿病網膜症の症状と眼底検査の重要性についてお話を伺いました。

糖尿病網膜症は自覚症状が現れないことが多いです。初期の段階では全く症状がないことも多く、これが危険な点です。そして実際に網膜症が進行してからはじめて症状が出てきます。具体的には物が歪んで見えたり、黒いススのようなものが見えてきたりします。そこから急激に視力が低下し、失明につながることもあります。

糖尿病網膜症は、何もしないで放置しておくと失明に陥る可能性があります。先述したように代表的な症状はなく、症状が進行してから気付きます。早くから気づくためには眼底を定期的にチェックするしかありません。糖尿病であれば、症状がなくても少なくとも1年に1回は眼科に行き、眼底のチェックをするべきです。OECD(経済協力開発機構)諸国の平均では、1年に1回の眼底検診を受けている糖尿病の患者さんは57%程度です。アメリカでは77%、イギリスは85%と平均を上回っています。ところが日本ではどうでしょうか。日本では糖尿病の患者さんで1年に1回の眼底検査を受けている方は37%しかいません。

これにはさまざまな原因が考えられています。まずここで述べておきたいことは、糖尿病の患者さんは症状がなくても眼科に行かなければならない、眼科医に診察してもらわなければならないということです。

糖尿病網膜症の悪化に早く気づくためには症状はあまり参考になりません。症状が出てきたときにはかなり進行していることも多いです。
眼科にはさまざまな人が来るため、もちろん待ち時間が長くなってしまうこともありますが、症状がなくても1年に1回は必ず眼科の受診をして、眼底を見てもらうことが重要です。

眼底の検査をするときのもう一つの注意点は、公共交通機関を使うことです。
自動車はいけませんし、最近では自転車もいけません。自転車を避けるべきという認識のある方は少ないかもしれませんが、自転車の運転も十分に危険が伴います。それを認識した国も道路交通法を厳しくしており、眼底検査をする際には自転車の運転も勧められません。

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