インタビュー

頚椎症性脊髄症とはどんな病気?

頚椎症性脊髄症とはどんな病気?
國府田 正雄 先生

筑波大学 医学医療系整形外科 准教授

國府田 正雄 先生

目次
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この記事の最終更新は2015年08月17日です。

年齢を重ねると、頚椎にはさまざまな変化が起こります。その変化自体は誰にでも起こり得ることで、特に病気ではありません。しかし、頚椎が変化していくと、その近くを通る脊髄に影響を及ぼしさまざまな神経症状を引き起こすことがあります。それを「頚椎症性脊髄症」といいます。
頚椎症性脊髄症とはどんな病気?どのような病気なのでしょうか。筑波大学医学医療系整形外科 准教授の國府田正雄先生にお話を伺いました。

脊椎は下図のように頚椎・胸椎・腰椎・仙骨・尾骨からなります。

脊椎の構造
脊椎の構造

その中で頚椎が変形することを「頚椎症」または「変形性頚椎症」といいます。頚椎症は変形性脊椎症のひとつです。変形性脊椎症は病気ではなく、加齢性の変化です。それが下図のように脊髄を圧迫すると、頚椎症性脊髄症といわれます。

頚椎側面図
頚椎側面図

頚椎症性脊髄症の症状は脊髄の圧迫によって起こる神経の症状です。そのため、以下の例のようにさまざまな症状が現れます。

  • 「感覚神経」に関する症状として:手足のしびれ・痛みなど、
  • 「運動神経」の症状として:手を細かく動かせなくなる、つまずきやすくなる、
  • 「自律神経」の症状として:膀胱直腸障害(尿や便が出にくくなる)

また、頸(くび)の痛みがあったとしても、これは頚椎症性脊髄症の大きな特徴というわけではありませんので、ただちに頚椎症性脊髄症と断定できるわけではない点に注意してください。

※症状の進み方について
「緩徐に慢性進行性の経過」をとります。これは、ゆっくりと少しずつ症状が進んでいく、と理解をしてください。しかし、その中でも比較的急速に症状が進行するケースがあり、数週間程度で歩けなくなることもありますので、注意が必要です。

※初期症状について
これといった典型的な初期症状はありませんが、気付きやすい症状としてはしびれや歩きづらさが挙げられます。このような症状に気付いたら整形外科を受診しましょう。

椎体や椎間板が変性し、骨棘を形成します。骨棘自体は加齢により誰にでも形成され得るものですが、これが脊髄を圧迫することで頚椎症性脊髄症を引き起こします。骨棘のほかには頚椎椎間の不安定性も原因となります。これは、椎間板および椎間関節が徐々に変性して、ぐらぐら動くことによります。頚椎椎間が不安定になるとずれることは容易に想像がつくと思います。

生まれつき脊柱管が狭い人も頚椎症性脊髄症になりやすくなります。「発育性脊柱管狭窄症」といわれます。頚椎の変形や骨棘は先述したようにそれだけでは病気とはいえませんが、同じような骨棘が出たとしても脊柱管が狭い人は通常の方よりも症状が出やすくなります。特にこれは黄色人種に多いことが知られています。事実、白人には少ないため、頚椎症性脊髄症に対する手術は米国では我が国と比較すると少なくなります。

※リスクは?
まだリスクははっきりしていません。遺伝との関連についてもよく分かっていない状況です。

頚椎のレントゲンとMRI検査が代表的な検査です。(造影検査は手術を前提としたときに行う検査であるため代表的ではありません)

頚椎症性脊髄症では変形や骨棘の所見がみられますが、これは加齢に伴って誰にでも出現してくるものであり、特別に病的とは言えません。また、レントゲンのときは「動体撮影」という頸をそらしながらの撮影をすることがあります。これにより、椎間板や椎体にすべりとずれがないかを確認していきます。

脊髄を圧迫していることが分かります。しかし、無症状の人でもMRIで脊髄の圧迫が確認されることがある点は注意しなければなりません。その場合には特に治療が必要ないからです。そのため、MRIでは症状とあわせて評価することが大切です。時折、「脳ドックで脊椎を撮影し、圧迫があると言われました。手術は必要なのでしょうか?」という質問があります。しかし、画像上で変化が出ているだけでは手術の必要はありません。

年齢を重ねると、誰しもがMRIやレントゲン上の画像変化が出てきます。しかし、頚椎症性脊髄症に関していえば、まず症状ありきで、変化自体は誰にでも起こり得ると認識することが大切です。そのため、検査で変化が起きていたとしても、それだけでは「あせらず騒がず」という姿勢が大切です。

今の時点で分かっている予防法はありません。

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