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インタビュー

ガンマナイフとサイバーナイフの比較ー放射線治療の違いとは?

ガンマナイフとサイバーナイフの比較ー放射線治療の違いとは?
周藤 高 先生

横浜労災病院 副院長・脳定位放射線治療センター長

周藤 高 先生

目次
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この記事の最終更新は2015年08月19日です。

放射線治療装置はガンマナイフだけではありません。よく比較されるものとしてはサイバーナイフやノバリスなどの分割照射型治療装置があります。対応できる病気の種類や状態、実際の治療の流れなどに違いはあるのでしょうか。最新鋭のガンマナイフ装置を有する横浜労災病院脳神経外科部長の周藤高(しゅうとう・たかし)先生に、ガンマナイフとサイバーナイフの違いを教えていただきました。

ガンマナイフは装置内に頭部を固定して、その周囲に半球状に配置された約200個の線源(コバルト60)から発するガンマ線の細いビームを一点に集める仕組みになっています。一方、サイバーナイフはロボットアームの先端にX線を照射するためのリニアックと呼ばれるユニットが付いており、位置を変えながらさまざまな方向から照射するという仕組みです。

横浜労災病院のガンマナイフ
横浜労災病院のガンマナイフ

ガンマナイフは先に述べた構造上、脳をはじめとする頭蓋内の病変に対して治療を行うことになります。これに対してサイバーナイフは頭部以外、たとえば頚椎や体幹部の病変に対しても治療が可能です。
また、ガンマナイフは3cmを超える大きさの腫瘍などには適さないとも言われていましたが、現在では分割照射により3cm以上の病巣に対しても対応可能になっています。

ガンマナイフは専用のフレームをピンで頭部に固定する必要があります。局所麻酔を使うため痛みはありませんが、患者さんにとって心理的にも負担になることは否めません。フレームで固定しているからこそ誤差±0.5mmという高い精度での治療が可能なのですが、現在はエクステンドシステムという、患者さんにとってより負担の少ない固定方法もあります。これはマウスピースとバキューム枕で頭部を固定して分割照射を行うというものです。この方法でも誤差1mm以内の高い精度を実現しており、呼吸で頭が動いたりした時にはアラームで照射を停止するといった安全対策もとられています。

サイバーナイフはロボットアームが停止位置に移動するたびに患部をスキャンし、位置を特定して照射するため、固定はせず顔面にメッシュ状のマスクを装着します。精度の点ではガンマナイフに一歩譲るというところです。また、体幹部の病変に対して治療を行う場合は呼吸による影響を考慮する必要があります。これに関して、巡航ミサイルのナビゲーションに使用される自動追尾技術により、サイバーナイフには呼吸による動きを予測・補正する仕組みが取り入れられています。

ガンマナイフもサイバーナイフも、患部のみを正確に狙って多方向から放射線を照射するという点では同じです。これは周囲の正常な組織にできるだけ影響を及ぼさないためですが、放射線を使う以上、副作用がまったくないわけではありません。ですから、照射部位以外での被爆量を低く抑えることはきわめて重要です。
横浜労災病院で導入している最新のガンマナイフ(パーフェクションモデル)は、サイバーナイフをはじめとする各種放射線治療装置と比べて脳の他部位や体幹へは格段に被爆量が低く、同じガンマナイフでも以前の機種から大幅に改良されています。

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