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集学的治療とは―食道がんの治療法
食道がんは60歳以上の男性に多くみられるがんです。進行が早く完治が比較的難しいがんですが、その進行の度合いに応じていくつかの治療法を組み合わせることで、より治療の効果を高めることができます。この...
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集学的治療とは―食道がんの治療法

公開日 2015 年 09 月 28 日 | 更新日 2017 年 05 月 08 日

集学的治療とは―食道がんの治療法
安藤 暢敏 先生

国際親善総合病院 病院長

安藤 暢敏 先生

食道がんは60歳以上の男性に多くみられるがんです。進行が早く完治が比較的難しいがんですが、その進行の度合いに応じていくつかの治療法を組み合わせることで、より治療の効果を高めることができます。このような治療のアプローチを集学的治療といいます。

食道がんに対する集学的治療とは、具体的にはどのような治療の方法なのでしょうか。食道がんにおける集学的治療の第一人者である、国際親善総合病院 病院長の安藤暢敏先生にお話をうかがいました。

集学的治療とはなにか

がんの種類や進行度や患者さんの全身状態に応じて、外科的治療(手術)・化学療法・放射線療法など異なる治療法を組み合わせることを集学的治療といいます。食道がんに対する集学的治療には次のようなものがあります。

手術前後の化学療法

ステージII~IIIの患者さんには、主に手術前にシスプラチンとフルオロウラシル(5-FU)という抗がん剤を中心に使用します。

放射線治療+化学療法(化学放射線療法)

放射線治療は食道にできた元となるがんの部分とすでに転移しているリンパ節、そしてステージによっては転移のおそれがある周囲のリンパ節を含めて照射します。1日1回の照射を週5回、これを5〜6週間続けます。その間に、抗がん剤による化学療法も2コース行います。放射線治療終了後の追加治療は、がんのステージによって、それぞれ方針が異なります。

どうして集学的治療が生まれたのか

食道がんは早期発見が難しいがんです。食道はのどから胃までをつなぐ管状の臓器ですが、周囲には心臓や大動脈、肺・気管・気管支などの重要な器官が隣り合っています。

また、食道には他の臓器の表面をおおっているような漿膜(しょうまく)という丈夫な膜がなく、外膜という薄い膜があるという構造になっています。このため、食道がんは周囲への浸潤(しんじゅん・まわりの臓器へ拡がっていくこと)が速いという特徴があります。

このような理由から、つかえ感などの症状が出て検査を受けて食道がんであることがわかった時点では、すでにがんがかなり進行しているといったケースが少なくありません。また、手術をしても再発することが多いがんでもあります。

従来はステージII~IIIの患者さんに対しては手術のみを行っていましたが、再発することが少なくありませんでした。手術前や手術後に抗がん剤による化学療法を併用することで、手術後の5年生存率が向上したというデータがあります。

日本における食道がんのほとんどが扁平上皮がんであり、この種のがんは放射線治療や化学療法に対する感度が高い、すなわち放射線の照射や抗がん剤の効果が比較的高いという特徴があります。手術だけを行うのではなく、その前後で抗がん剤を併用することで再発率を低くおさえることができます。

また、手術の前に放射線治療や抗がん剤でがんを小さくすることができれば、手術が困難と思われるケースでも手術が可能になり、手術そのものがより効果的に行えるというメリットもあります。

がんの進行の度合いにもよりますが、他の臓器や離れた部位のリンパ節への転移がない場合には、放射線治療と抗がん剤による化学療法を組み合わせて行うことで、がんを完全に消失させることも期待できます。食道の切除を回避して温存したい場合や、患者さんの全身状態からみて手術が難しい場合には、手術に代わる治療方法となります。

また、がんが進行して完治が望めない場合には、食道が狭くなって食事が通らない、痛みがあるといった症状を軽減してQOL(生活の質)を改善するために放射線治療やステント手術、バイパス手術を併用することもあります。これらは姑息的治療とも呼ばれます。

食道がんの集学的治療における第一人者。東京歯科大学市川総合病院で食道がんの名医としてその名を広く知られる。同病院長を経て現在は国際親善総合病院で病院長を務める。JCOG(日本臨床腫瘍研究グループ)での活動をはじめ、国内のみならず国際学会においても長年に渡る活動・業績が高く評価されている。

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