インタビュー

外リンパ瘻やメニエル病の検査―難聴の最新診断技術(1)

外リンパ瘻やメニエル病の検査―難聴の最新診断技術(1)
岩崎 聡 先生

国際医療福祉大学 教授

岩崎 聡 先生

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この記事の最終更新は2015年09月17日です。

難聴の診断技術は近年、大きく進歩しています。最新の検査・診断について国際医療福祉大学三田病院 耳鼻咽喉科の岩崎聡先生にお話をうかがいました。今回はこれまで診断が難しかった外リンパ瘻という病気の検査、そして「本当のメニエル病」とそうでないものを明らかにする画像診断技術についてのお話です。

外リンパ瘻は内耳の膜が破れて生じる病気で、難聴・耳鳴り・耳閉塞感(耳が詰まった感じ)・めまいなどの症状があります。また「水の流れるような耳鳴り」や「水の流れる感じ」は外リンパ瘻に特有の症状です。その誘引は大きく2つに分かれます。

  • 外因性の圧外傷:爆風・ダイビング・飛行機の搭乗など
  • 内因性の圧外傷:鼻かみ・くしゃみ・重いものの運搬・力みなど

これらの後に症状が現れた場合には、外リンパ瘻が疑われます。

リンパが漏れ出てくる量は微々たるものなので、目視による診断は困難でした。外リンパ瘻CTP診断法では、鼓膜を切開して生理食塩水で洗浄し、そこに破れた膜から漏れ出た特有のタンパク質(CTP)が含まれているかを調べます。これまで漠然とした疾患概念であった外リンパ瘻を、診断によってしっかりと確定し、治療することが可能となりました。

外リンパ瘻閉鎖術は、全身麻酔で鼓膜を切開して内視鏡で行います。診断・検査から治療までを一度に行うことができ、2泊3日程度の短期間で済みます。ただし、この治療はまだ研究段階のため、全国で20〜30ほどある研究協力施設でのみ可能です。

めまいを繰り返す症状があるとメニエル病が疑われることがあります。しかしそれが本当のメニエル病なのかどうかは、症状から判断するしかなく、これまでは正確に診断することが困難でした。

メニエル病は三半規管や蝸牛などの器官にある内リンパ液が増えて、水ぶくれのような状態(水腫)になることで起こります。内リンパ水腫の状態を確認するためには、中耳に造影剤を入れて24時間後に3.0テスラのMRI検査を行います。

MRI(Magnetic Resonance Imaging:磁気共鳴画像診断)は磁場の強度の違いによって1.5テスラと3.0テスラの2種類があります。内リンパ水腫の検査ではより画像情報量が多く得られる3.0テスラのMRIを行います。正常な状態であれば造影剤が行き渡って白く写りますが、内リンパ水腫の部分は造影剤が入らないので黒く写ります。

めまいを繰り返す、低い音が聞こえにくい、難聴が良くなったり悪くなったりを繰り返すという方には、原因がはっきりしないまま漫然と治療を続けるのではなく、内リンパ水腫があるかどうかを検査していただくことが望ましいと考えます。

しかしながら、MRI検査には放射線科との連携も必要となるため、この検査を行なっているのは現在のところ大阪大学、名古屋大学、信州大学そして私たち国際医療福祉大学三田病院の4施設のみとなっています。今後はこの検査・診断をより多くの施設で受けられるよう、広く普及していくことを考えています。

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