インタビュー

近視や遠視の矯正のための屈折矯正手術―手術を行えないのはどんな方?

近視や遠視の矯正のための屈折矯正手術―手術を行えないのはどんな方?
鈴木 雅信 先生

国際医療福祉大学三田病院  眼科学教授

鈴木 雅信 先生

この記事の最終更新は2015年12月07日です。

 

『屈折矯正手術後の日常生活―手術後の再発・長期の合併症は?』では、屈折矯正手術後の日常生活や屈折矯正手術後の再発・長期の合併症について詳細を紹介しました。ただし、全ての方に屈折矯正手術を実施できるわけではありません。この記事では、国際医療福祉大学三田病院眼科教授・鈴木雅信先生に、屈折矯正手術の対象となる疾患や、手術が向いている方、手術ができない方などについて解説していただきます。

屈折矯正手術は、近視・近視性乱視遠視・不正乱視などの患者さんが対象になります。

ただし、手術は必須ではありません。眼鏡やコンタクトレンズの使用について不自由を感じていないのであれば、手術を行わなくてもかまわないでしょう。また、手術によって近視の進行が止まるわけでもありません。屈折矯正手術を受けてはっきりと見えるようになっても、長期間の経過によってまたピントが合わない状態になる可能性があります。

日本眼科学会のガイドラインでは、エキシマレーザーによる手術対象の患者さんを、18歳以上としています(親権者の同意がある場合)。

また、エキシマレーザー・有水晶体眼内レンズ手術とも、メリットばかりではありません。術式によってはドライアイが起こりやすくなるなどといったデメリットがあります。それらを理解していて、なおかつ眼鏡やコンタクトレンズを使用しなくなればメリットが生まれると感じている方に向いています。

また、日本眼科学会のガイドラインでは、エキシマレーザー手術の場合、近視遠視とも6D(焦点距離)程度の方までを対象とするように定めています。同じく有水晶体内レンズ手術については、「6 D を超える近視とし、15 D を超える強度近視には慎重に対応する。」と定めています。

 

ディオプトリー(D)

0.25

0.50

0.75

1.00

1.25

1.50

1.75

2.00

焦点距離(m)

1.33

0.8

0.667

0.571

0.5

ディオプトリー(D)

2.50

3.00

3.50

4.00

4.50

5.00

5.50

6.00

焦点距離(m)

0.5

0.333

0.286

0.25

0.222

0.2

0.182

0.16

ディオプトリー(D)

7.00

8.00

9.00

10.00

11.00

12.00

13.00

14.00

焦点距離(m)

0.143

0.125

0.111

0.1

0.091

0.08

0.077

0.071

日本眼科学会のガイドラインでは、エキシマレーザーによる手術が禁忌となる患者さんを以下の通りとしています。

  1. 円錐角膜
  2. 活動性の外眼部炎症
  3. 白内障(核性近視)
  4. ぶどう膜炎強膜炎に伴う活動性の内眼部炎症
  5. 重症の糖尿病や重症のアトピー性疾患などといった手術の傷口の治癒に影響を与える可能性の高い全身性あるいは免疫不全疾患
  6. 妊娠中または授乳中の女性
  7. 円錐角膜疑い
  1. 緑内障の患者さん
  2. 全身性の結合組織疾患をお持ちの方
  3. ドライアイの方
  4. 向精神薬(ブチロフェノン系向精神薬など)を服用されている方
  5. 角膜ヘルペスの既往がある患者さん
  6. 屈折矯正手術の既往がある患者さん

以上6つの条件に一つでも当てはまる方は、手術を慎重に行う必要があります。

また眼内レンズ手術については、これらに加えて「浅前房および角膜内皮障害がある方」としています。実際の治療においても上記にあてはまる患者さんの手術に対しては慎重に行わなければならないとされており、医師は適宜、問診や検査を行います。

ただし、上記の条件は日本眼科学会が指定したガイドラインであり、あくまでも目安です。この条件に合致する場合でも手術が可能になる場合もありますので、主治医に相談してみてください。

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