インタビュー

心不全とは―急性心不全と慢性心不全

心不全とは―急性心不全と慢性心不全
山本 一博 先生

鳥取大学 医学部病態情報内科 教授、鳥取大学医学部附属病院 第一内科診療科群(循環器内科、内...

山本 一博 先生

この記事の最終更新は2015年11月01日です。

心不全」という言葉から連想されるのは、心臓に関係した重い病気であり、命に関わるといったイメージではないでしょうか。心不全とは具体的にはどんな状態のことをいうのでしょう。鳥取大学医学部附属病院第一内科診療科群の主任診療科長である山本一博教授にお話をうかがいました。

心臓は全身に血液を送り出すポンプの働きをしています。心不全とは、心臓の働きが障害されて、身体全体に血液をうまく回すことができない状態をいいます。そのことにより、息切れやむくみなどさまざまな症状を引き起こします。心筋梗塞(こうそく)や弁膜症など、さまざまな心臓の病気の結果として起こる状態を心不全と呼んでいるともいえます。

心不全には急性心不全慢性心不全の2種類があります。心臓を養っている血管が詰まって血液が流れなくなり、心臓の筋肉が死んでしまう心筋梗塞や、突然発症した不整脈などによって急激にポンプの働きが弱まり短期間に悪化する場合が急性心不全です。一方、心筋症高血圧弁膜症などが原因で長年にわたって心不全症状がある場合を慢性心不全といいます。

慢性心不全高血圧脂質異常症(高コレステロール血症など)、 糖尿病などの生活習慣病との関連が強く、高齢になるほど発症する人が多くなります。日本では高齢化が進んでいるため、これからますます慢性心不全の患者さんが増えると思われます。

前項で述べたように、心不全は年齢とともに多くなり、特に60歳を超えると急激に発症する頻度が高くなります。ちょうど体力が落ち始める年齢でもあるので、動いたときに息切れがするようになっても、本当は心不全なのに「歳のせい」だと考えてしまう場合が少なくありません。加齢による体力の衰えと、心不全による症状の両方がありえますので、今まで何ともなかったことで息切れをするようになったなと思った時には、医療機関を受診して、本当に加齢によるものなのか、それとも何か心臓の病気が隠れているのかを調べてもらうことをおすすめします。

今まで普通にできていた動作で息切れがするというだけでは、一時的な疲労や体力の低下と区別がつきにくいかもしれません。しかし、短期間のうちに悪くなっているとき、たとえば1週間前には3階まで階段を上ると息切れがしていたのが、今は2階に上がるだけでも息が切れるといった場合は、心不全の可能性があります。

また、食事量が変わっていないのに一日で体重が2kg以上増えたときや、足のすねを指で押すと粘土を押したときのようにへこんで痕が残る “むくみ”の場合も要注意です。少しでも気になることがあれば、「歳のせい」で片付けずに医療機関を受診するようにしてください。その際は「いつから」「どんなふうに」と症状を説明できるよう、あらかじめ整理しておくとよいでしょう。

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  • 鳥取大学 医学部病態情報内科 教授、鳥取大学医学部附属病院 第一内科診療科群(循環器内科、内分泌・代謝内科) 主任診療科長

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