インタビュー

「糖質ゼロ」「カロリーゼロ」の落とし穴。知っておきたい表記の意味

「糖質ゼロ」「カロリーゼロ」の落とし穴。知っておきたい表記の意味
張 日怜 さん

独立行政法人 労働者健康福祉機構 横浜労災病院 栄養管理部

張 日怜 さん

松澤 陽子 先生

松澤内科・糖尿病クリニック 院長

松澤 陽子 先生

この記事の最終更新は2016年04月10日です。

健康志向の高まりに伴って、「糖質ゼロ」や「カロリーゼロ」を謳う商品が次々と開発され、店頭に並ぶようになりました。しかし、これらの商品は本当に糖質やカロリーが全く含まれていないのでしょうか。また、これらの食品を食べていれば本当に太らないのでしょうか。今回は巷にあふれるゼロ系食品の落とし穴について、横浜労災病院栄養管理部の張 日怜(ちゃん いるりょん)さんにご説明していただきました。

近年、日本ではメタボリックシンドロームの患者数が増え続けています。メタボリックシンドロームの最大の治療法は、摂取エネルギーを減らすこと、つまり食事の工夫です。具体的には一日に摂るべきエネルギー摂取量を決め、それを超えないようにします。

摂取エネルギーの計算方法は下記のとおりです。

適正エネルギーの計算方法

上記の適正エネルギー量を参考に、日々の食事を意識して摂ってみましょう。現在では、外食レストランなどにもメニュー表にエネルギー量(カロリー)が表示されていることも多くあります。

最近、スーパーやコンビニエンスストアで「カロリーゼロ」などと謳っている食品を多く見かけるようになりました。エネルギー(カロリー)摂取量を制限している方にとっては、非常に便利な食品といえるでしょう。しかし、実は「カロリーゼロ」と表示していても、カロリーはあるのです。

カロリーに関する表示のルールは、健康増進法の栄養表示基準で決められており、一定の基準を満たした食品は「カロリーゼロ」と表示することが許されています。

具体的には、下記のように表示が決まっています。

100gあたり(飲み物であれば100mlあたり)5kcal以下であれば、「カロリーゼロ」「カロリーなし」「ノンカロリー」などと表示できます。

「ゼロカロリーなのに甘い」と感じる商品は、500mlのペットボトル1本あたり約1本分のスティックシュガーが含まれていることになります。

100gあたり40kcal以下、または100mlあたり20kcal以下の食品は、「カロリーオフ」「低カロリー」「ローカロリー」「カロリーカット」「カロリー控えめ」などと表示できます。

つまり、「カロリーゼロ」と表示されているからといって大量に食べてしまえば、そのぶん摂取カロリーは増えるということであり、いくら食べたり飲んだりしても太らない、というわけではないのです。 

また、人工甘味料を大量に摂取することで起こりうる副作用は明らかにされていませんが、一般的には、腹痛や下痢などの消化器症状、味覚障害などが現れると考えられており、注意が必要とされています。

カロリーゼロと並んでよく見かける「糖質ゼロ」の表示も同様です。

「糖質ゼロ」「糖分ゼロ」「無糖」と表示することができます。

100gあたり糖質が5g以下の食品、または100mlあたり糖質2.5g以下の食品に対しては「糖質オフ」「糖分カット」「微糖」「低糖」「糖質ひかえめ」と表示できます。

とはいえ、カロリーゼロや糖質ゼロと表示されている食品は、通常の食品に比べてカロリー・糖質が少ないことは事実であり、通常の食品を食べるよりは確実にエネルギー量や糖質をおさえることができます。あまり神経質になりすぎず、日々の食事の中で賢く利用していきましょう。

市販の飲み物に含まれる砂糖の量

市販の飲み物に含まれるカロリーの量

 

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