インタビュー

完治が可能な高血圧「二次性高血圧」とは

完治が可能な高血圧「二次性高血圧」とは
佐藤 敦久 先生

国際医療福祉大学 三田病院 副院長

佐藤 敦久 先生

この記事の最終更新は2015年11月17日です。

多くの方にとって高血圧とは、生活習慣に気をつけながら薬での治療を続け、一生付き合っていくものと考えられているのではないでしょうか。しかし、高血圧の中には治療すれば完治可能なものがあるということは意外と知られていないようです。見逃してはならない二次性高血圧について、国際医療福祉大学三田病院 内科部長・副院長の佐藤敦久先生にうかがいました。

高血圧は大きく2種類に分けることができます。ひとつは本態性高血圧、もうひとつは二次性高血圧です。

一般に高血圧というと本態性高血圧のことを指し、高血圧の大部分を占めています。原因は未だはっきりしていませんが、遺伝的要因として食塩感受性を高めるような遺伝子の異常が複数見つかっています。このことに加えて、偏った食生活・喫煙・飲酒・運動不足などの生活習慣が重なりあって高血圧になると考えられています。

これに対して二次性高血圧は、血圧上昇の原因となる疾患が明らかで、その疾患を根本から治療できれば完治することが可能です。二次性高血圧は本態性高血圧に比べて頻度が低いとされていましたが、当初考えられていた割合よりも多いということが分かってきました。現在では検査精度の向上や治療ガイドラインの見直しによって、高血圧の患者さん全体に占める二次性高血圧の割合がさらに増えると考えられています。このことについては、後でくわしく述べます。

二次性高血圧は早期の診断と治療開始が大切です。その理由は大きく2つあります。まず原因となる疾患を治療することで、治せる可能性があるということ。もうひとつは、二次性高血圧を気付かずに放置すると、本態性高血圧よりも血管合併症が強く出て、一般的な降圧治療が有効に働かなくなるため、血管が傷つきやすくなるからです。したがって、二次性高血圧を見逃さないということは非常に重要です。

腎臓と高血圧の間には密接なつながりがあり、腎臓や副腎、腎臓の周囲の血管、脳の下垂体などの機能や形態の異常が原因で、血圧が高くなることがあります。二次性高血圧の原因となる主な疾患は以下のとおりです。

中でも腎実質性高血圧(慢性腎臓病)はとりわけ頻度が高く、高血圧の患者さん全体の2〜5%を占めるといわれています。 また、腎血管性高血圧(腎動脈狭窄症)は高血圧患者の約1%にみられます。

近年、特に多く見つかるようになっているのは原発性アルドステロン症です。従来は高血圧の患者さん全体に占める割合が0.5%程度とされていました。これは高血圧の患者さんを200人集めても、そのうちの1人にしか見つからないという割合になります。しかし検査によるスクリーニング方法が変わって、新しく別のスクリーニングを行なうようになった結果、高血圧の患者さんのうち約5%(1.6-11.2%)が原発性アルドステロン症であるとの報告もなされるようになりました。

今後、新しいスクリーニングの基準に照らしてみると、高血圧全体に占める二次性高血圧の割合はさらに増え、10〜15%程度になるのではないかとみられています。このことからも二次性高血圧は絶対に見逃してはならないものとなっています。

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