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インタビュー

甲状腺がんの種類と原因、自覚症状について

甲状腺がんの種類と原因、自覚症状について
杉谷 巌 先生

日本医科大学 大学院医学研究科 内分泌外科学分野 大学院教授、日本医科大学付属病院 内分泌...

杉谷 巌 先生

この記事の最終更新は2015年11月20日です。

甲状腺がんには乳頭がんや濾胞がんなどいくつかの種類があります。そのなかで日本人に最も多い甲状腺がんが乳頭がんです。近年、検査精度の向上によって、以前は発見できなかった甲状腺がんを見つけることが可能になってきています。本記事では、甲状腺がんの種類や検査について、日本医科大学付属病院 内分泌外科 部長 杉谷巌先生にお話しいただきました。

甲状腺は、いわゆる「のどぼとけ」(甲状軟骨)のすぐ下にある重さ10〜20g程度の小さな臓器で、全身の新陳代謝や成長の促進にかかわるホルモン(甲状腺ホルモン)を分泌しています。羽を広げた蝶々のような形で、右葉と左葉からなり気管を取り囲むように位置しています。甲状腺がんは甲状腺をつくっている細胞ががん化して悪性の腫瘍(しゅよう)となったものです。甲状腺がんは、1000人に1人前後の割合で発症するとされています。

甲状腺の位置

甲状腺がんの種類には次のようなものがあります。

  • 乳頭がん
  • 濾胞がん
  • 未分化がん
  • 髄様がん
  • リンパ腫

日本では、甲状腺がんの大半は乳頭がんです。
甲状腺がんにはヨウ素の摂取量が関係しているとされ、海藻類を日常よく食べる日本では乳頭がんの頻度が高く、一方で未分化がんや濾胞がんのような治療の難しいがんの頻度が少なくなるといわれています。国によってそれぞれの種類が占める割合は異なります。

甲状腺がんの自覚症状には、次のようなものがあります。

  1. 頸(くび)のしこり(甲状腺、リンパ節)
  2. 声のかすれ(嗄声:させい)
  3. 血痰が出る
  4. 食事が喉を通らない

2~4は甲状腺の周囲にある声帯や気管、食道にがんが食い込んでしまうことで現れます。最近では自覚症状がなく、超音波検査(エコー)などによる検診で、偶然発見されるケースが増えています。

甲状腺がんの検査には次のようなものが挙げられます。

  • 問診、触診
  • 血液検査
  • 超音波検査(エコー)
  • CT(Computed Tomography:コンピューター断層撮影)
  • MRI(Magnetic Resonance Image:磁気共鳴画像)
  • シンチグラフィー検査
  • 穿刺吸引細胞診

甲状腺がんの罹患率はアメリカ、韓国など先進国では増加傾向にあります。しかしその中で増えているのは乳頭がんであり、濾胞がんやその他のがんは横ばいです。また乳頭がんを取り上げてみても、増えているのは2cm以下の小さな乳頭がんなのです。

しかし、これは乳頭がんの発生が実際に増えたことを意味するのではないといわれています。がん検診の機会が増えたことや超音波検査などの検査の精度が上がったことで、これまで見つからなかった小さながんまで見つけられるようになったと考えられるためです。

次の記事から、乳頭がんが怖くないといわれる所以について述べていきます。

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  • 日本医科大学 大学院医学研究科 内分泌外科学分野 大学院教授、日本医科大学付属病院 内分泌外科 部長

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