インタビュー

「小児科医療ではなく小児医療」を行うことの重要性

「小児科医療ではなく小児医療」を行うことの重要性
寺井 勝 先生

千葉市立海浜病院 小児科 、千葉市病院 前事業管理者

寺井 勝 先生

この記事の最終更新は2015年12月02日です。

「小児医療は小児科医だけではできない」と、千葉市立海浜病院の寺井勝先生はおっしゃいます。小児の病気は成人と同様、極めて専門的な治療が必要な場合があり、小児科医と各診療科の専門医との連携が必要なのです。寺井先生は、千葉県八千代市の東京女子医科大学八千代医療センターで病院長を務められ、小児科医として、また病院長として八千代市の医療提供体制の構築にご尽力されました。今回は寺井先生に小児医療を行うことの重要性と小児科医の役割についてお話しいただきました。

小児を診るのは小児科医だけでしょうか。そうではありません。まだまだ小児を診るのは小児科医のみと思われている現状があります。わたしは「小児科医療ではなく小児医療」を推進するひとりです。実は、小児の病気の予防から診断、治療をするには、小児科医だけではなくさまざまな診療科の専門医と連携して診る必要が多くなっています。たとえば、小児の救急医療では、発熱や腹痛などの内因系疾患だけではなく、骨折打撲・熱傷・異物誤飲など、いわゆる外因系といわれる疾患への初期対応を行います。

病院の小児医療は、前項でも述べたとおり、小児科医だけで行えるものではなく、小児外科医・小児をケアできる救急医・脳外科医・整形外科医・形成外科医・心臓外科医・眼科医・耳鼻科医・精神科医と多くの診療科の連携があって初めて質の高い救急医療を提供することが可能となります。全身を診ることができる小児科医が小児医療の窓口となることで、必要な時にしかるべき専門医に相談するという仕組みができます。救急から高度医療までスムーズな院内連携が可能になれば、患者さんは多大な恩恵を受けることが出来ます。

これを実現するには、日本小児科学会が提唱するように、小児救急機能のある地域小児科センターが小児の二次医療圏にひとつあることが理想的なのです。さらに、専門性の高い小児疾患の診療体制を提供することが可能な小児医療施設が三次医療圏にあることも望ましいです。2015年10月現在、日本小児総合医療施設協議会に加盟している小児専門施設は全国で32施設です。小児科医療ではなく、小児医療という大きな枠組みのなかで小児科医は自身の役割を果たしていきたいものです。次の記事で(地域小児科センターを二次医療圏にひとつ作るために-課題と今後の展望)、小児救急機能のある地域小児医療センターを二次医療圏にひとつ作るうえでの課題について述べていきます。

 

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