インタビュー

アナフィラキシーとは

アナフィラキシーとは
今井 孝成 先生

昭和大学病院 小児科 教授

今井 孝成 先生

この記事の最終更新は2016年02月11日です。

みなさんは、アレルゲン(アレルギーを引き起こす物質)に接触・摂取した後、短時間で全身に複数のアレルギー症状が出現する「アナフィラキシー」をどのくらい正確にご存じでしょうか。今や花粉症アトピー性皮膚炎といったアレルギー疾患は広く知られていますが、ここでは、昭和大学医学部小児科学講座の今井孝成先生にアナフィラキシーについて解説していただきます。

アナフィラキシー症状とは、アレルゲン(アレルギーを引き起こす物質)に接触・摂取することで、短時間のうちに全身にわたる複数の臓器(皮膚、粘膜、呼吸器、消化器、循環器など)に、アレルギー症状が起きることを指します。気管支喘息と同様、即時型アレルギー反応と呼ばれるもので、アレルゲンに曝露後、数分から数十分以内に症状が現れます。

以下のうち、一つでも該当する場合は、アナフィラキシー症状を発症していると診断します。

1 皮膚症状(全身の発疹、瘙痒または紅潮)、または粘膜症状(口唇・舌・口蓋垂の腫脹など)のいずれかが存在し、急速に(数分〜数時間以内)発言する症状で、かつ呼吸器症状(呼吸困難、気道狭窄、喘鳴、低酸素血症)、循環器症状(血圧低下、意識障害)の少なくとも1つを伴う。

2 一般的にアレルゲンとなりうるものへの曝露の後、急速に(数分〜数時間以内)発現する以下の症状のうち、2つ以上を伴う。

  • 皮膚、粘膜症状(全身の発疹、瘙痒、紅潮、浮腫)
  • 呼吸器症状(呼吸困難、気道狭窄、喘鳴、低酸素血症)
  • 循環器症状(血圧低下、意識障害)
  • 持続する消化器症状(腹部疝痛、嘔吐)

3 当該患者におけるアレルゲンへの曝露後の急速な(数分〜数時間以内)血圧低下。

アナフィラキシーは、全身の複数の臓器にアレルギー症状が起きるのが特徴です。そのため、初期の症状はさまざまです。

軽い瘙痒や口唇、眼瞼の部分的な膨張、弱い腹痛など、軽症(グレード1)の場合はあわてる必要はありませんが、症状が進行しないか注意しながら安静にして、最低1時間は経過を見守ります。

軽い瘙痒や顔全体の腫れ、咽頭痛、強い腹痛などの症状が複数確認できる中等症(グレード2)は注意が必要です。ただちに医療機関を受診するようにします。また、呼吸器症状が悪化して呼吸困難などに至る可能性が考えられる場合、アドレナリンがあれば注射を考慮します。また、中等症で循環器症状や神経症状を認める場合はプレショック状態と考え、アドレナリンを投与し、速やかに医療機関を受診します。

循環器症状や神経症状(血圧低下や意識障害等)が見られるなど、重症(グレード3)のアナフィラキシー症状が起きている場合はアナフィラキシーショックを起こしていると考えられるため、アドレナリンを投与し速やかに医療機関を受診します。

2011年9月22日から、医師の治療を受けるまでの間、アナフィラキシー症状を緩和するための補助治療剤(アドレナリン自己注射薬)を処方できるようになりました。

アナフィラキシー症状は、二相性反応といって、一旦症状が改善してしばらくしてからアナフィラキシー症状が再燃することがあるので注意が必要です。

アナフィラキシーは、短時間で症状が現れるという特徴がありますが、実際に症状が現れるまでの時間は、アレルゲンや患者さんの体質や体調によって差があります。

注射薬や蜂毒は直接体内に入るため、一般的に症状が出るまでの時間が極めて早いのが特徴です。これに対し、食物や内服薬は体内に消化吸収されるまで時間がかかるため、多くの場合で症状が出るまでにある程度の時間を要します。

個人差はあるものの、アナフィラキシーが原因で心停止に至る場合、薬物では5分、蜂毒では15分、食物では30分程度といわれています。2011年の厚生労働省の統計によれば、アナフィラキシーショックによる死亡原因のうちもっとも多いのが薬物で32件、次に蜂などの毒15件、食物が5件でした。

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