インタビュー

食物アレルギーの検査方法

食物アレルギーの検査方法
今井 孝成 先生

昭和大学病院 小児科 教授

今井 孝成 先生

この記事の最終更新は2016年02月14日です。

アナフィラキシーショックは、アレルゲン(アレルギーを引き起こす物質)に接触・摂取した後、短時間で全身に複数のアレルギー症状が出現して、血圧低下や意識障害に陥る状態を指します。前記事で、小児に限った場合、アナフィラキシーショックの大多数の原因は、原因物質を含んだ食品の摂取であることを説明していただきました。ここでは、昭和大学医学部小児科学講座今井孝成先生に、食物アレルギーの検査方法について解説していただきます。

食物アレルギーを起こしている可能性が高い小児を診察する場合、医師は、発症した時期、乳児期の栄養摂取方法、食習慣、既往歴などを保護者の方にうかがいながら、症状と食物の因果関係について検証を行います。

IgEとは、血液に含まれるグロブリンと呼ばれる成分のうちの一つです。食物アレルギーの原因物質とその原因物質に反応するIgEがアレルギー症状を誘発することがわかっています。血液中のIgEを調べる検査では、特定の物質に対してアレルギーを起こしているかどうかの可能性が推測できます。ただし、特異性IgEの値が高くなっているからといって、アレルギー症状が出現するとは限らず、診断の根拠にはなりません。

プリックテストは、アレルギーが疑われる物質を皮膚に滴下してその部位の皮膚を刺激し、15分後に反応の有無をみる検査です。陽性反応があると皮膚が赤くなったり、蚊に刺されたように膨らんできたりします。血液検査と同様に、陽性反応があっても、滴下した物質がアレルギーの原因物質である可能性が推測できるだけで診断の根拠にはなりません。

パッチテストは、同じアレルギーが疑われる物質を皮膚に貼り付けて、48時間後に皮膚の状態を判定します。一般的には金属アレルギーなどでよく利用されます。即時型の食物アレルギー反応の診断には有用とはいえません。

症状を引き起こしている可能性が高い食品を先述の検査で絞り込んだ後、食べるのをやめて症状が出なくなるのを確認したり(除去試験)、食べてみて症状が出るかどうかを確かめたりします(負荷試験)。負荷試験の結果をもって食物アレルギーは確定診断されます。

ただし、負荷試験は必ず医療機関で行うことが重要です。IgE値が高い食物の場合、症状が起こる確率が高く、IgE値が低い場合その確率は低くなるのですが、IgE値が低ければ症状が出なかったり、出ても軽く済むことが約束されるわけではありません。

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