インタビュー

尿路結石の種類と治療法

尿路結石の種類と治療法
中島 雄一 先生

飯塚病院  泌尿器科部長

中島 雄一 先生

この記事の最終更新は2016年05月09日です。

尿路結石は、石ができた場所や大きさ、石の成分によって治療法も異なります。どのようなタイプの結石があるのか、種類や治療法にはどのようなものがあるのかについて、飯塚病院泌尿器科部長の中島雄一先生にお話を伺いました。

尿路結石の治療については、結石を溶かす溶解療法や石を砕く結石破砕(はさい)療法、内視鏡を使った治療などがあります。どの治療法を行うかについては、結石の成分や大きさなどによって判断します。

結石はその石の成分によっていくつかの種類にわけられますが、尿路結石で一番多いのがカルシウム結石です。激しい痛みなどを伴うことが多く、レントゲンに写りやすいタイプの石といわれます。

一般的に多くみられる、カルシウムが原因で起こる結石は薬で溶けることはほとんどありません。そのため、このタイプの石の場合は、排石促進(石をからだの外に出すことを促す)を行うか、石を砕いて出すより他に方法がありません。

石が自然に体の外に出る大きさは6~10mmや7~12mmといったことがよく医師間ではいわれますが、私は患者さんが覚えやすいように「7-11(セブン-イレブン)」、つまり7~11mmとお話しています。この程度の大きさならば、自然に石が出る可能性があります。しかし、それを超えてくる大きさの石については、最初から治療を行った方がいいでしょう、ということを説明します。

ただし、ものすごく痛みが強く耐え難い激痛が持続しているといったような場合には、石が小さくても 破砕装置を使って石を砕く治療を行うのが適切と考えます。レントゲンに写るタイプの石(カルシウム結石)であれば、石の大きさがだいたい5ミリ程度ならば、現在の破砕装置を使えば破砕することが可能です。破砕療法はほとんどの施設がほぼ日帰りで治療を行っています。

ただし、尿路結石において破砕治療ができない場合があります。具体的には不整脈があるなど心臓が悪い方は破砕治療ができません。破砕の際に生じる衝撃波が心臓に悪いためです(一定の条件を満たせばできる場合もあるため担当医に相談してください)。また、抗凝固剤や抗血小板薬を服用している方や妊婦さん、やせすぎた方や逆に肥満の方などは、破砕治療は適応されません。

治療時の痛みに関しては、人によって千差万別です。現在の破砕装置はかつてと比べると大分改良されているため、大半の方が麻酔なしで治療をしています。かつてはプールに入って、水のなかに衝撃波を通していた時代もありました。当時の器械は麻酔をしなければとても痛くて治療できないものでしたが、今の装置は「チクチクする程度で、気持ちいいです」とおっしゃる方もおられるくらいです。

治療の後は、1~2日程度血尿(血が混じった尿)が出ますが心配することはありません。むしろ注意すべき点は、破砕治療をしたのに「痛みがきました」という場合や、治療を終えて帰宅したら夜から熱が出たという場合です。

一方、石の大きさが10mmを超えてきた場合は、石を砕くと尿路の下のほうで石が詰まることがあるため、その際はカテーテルを挿入してから石を小さく砕いて、からだの外に取り除く治療を行います。

主に尿酸やシスチン、キサンチンなどを成分として形成されている結石については、溶解療法(薬で石を溶かす治療)を行います。尿をアルカリ化することで石が溶けるので、尿のpHをみながら、尿をアルカリ化するための薬を内服してもらいます。

●結石の主な種類

カルシウム結石】

・結石の約80%

・結石の中でもっとも多い

・薬で溶かすことはできない

【尿酸結石】

・結石の約5~10%

尿酸値を下げて尿をアルカリ性にする

・アルカリ化する薬を内服する

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