インタビュー

トリコモナスの治療薬と副作用

トリコモナスの治療薬と副作用
尾上 泰彦 先生

プライベートケアクリニック東京 院長

尾上 泰彦 先生

この記事の最終更新は2015年12月05日です。

腟トリコモナス症は、ポピュラーな性感染症のひとつです。地域によって感染率は大きく異なりますが、日本では減少傾向にあります。その一方で再発を繰り返し完治が難しいケースもあり、正確な治療薬の投与が求められます。今回はトリコモナスの治療薬とその副作用について、尾上泰彦先生に教えていただきました。

腟トリコモナス症の治療薬には、メトロニダゾール、トリニダゾールなどが使われます。メトロニダゾールとトリニダゾールは類似薬で作用機序や効能も似ており、共に内服薬と腟錠(腟坐剤)があります。

男性の感染者は非淋菌性尿道炎になることもありますが、トリコモナス原虫は前立腺などに潜んでいるので洗浄はそれほど効果を期待できません。日本性感染症学会のガイドラインでは、メトロニダゾール250mgを1日2錠10日間、あるいは単独投与として1.5g単回の経口投与を推奨しています。 男性はトリコモナス症の自覚症状があらわれにくく、原虫の検出も大変難しいです。そのためパートナーが腟トリコモナス症と診断された場合は検査を行い、結果が陽性であれば治療が必要となります。

日本性感染症学会のガイドラインでは、女性も腟だけでなく尿路への可能性から経口剤を必須としています。男性同様、メトロニダゾール250mgを1日2錠10日間あるいは、単独投与として1.5g単回の経口投与を勧めています。 経口投与が難しい例では腟錠(腟坐剤)の単独療法、難治例や再発例ではメトロニダゾールの経口投与と腟錠(腟坐剤)による局所療法の併用を10日間行います。また追加治療が必要な場合は、1週間期間を開ける必要があります。

臨床的に腟錠(腟坐剤)を腟内に挿入する治療法で良くなる方が多いので、日本の産婦人科における治療では、腟トリコモナス症に対して腟錠(腟坐剤)のみの腟内投与が一般的に行われています。

メトロニダゾールの副作用には、胃腸障害・頭痛めまい・味覚異常・しびれ感があります。ほかにもメトロニダゾール投薬期間中に飲酒を行うと、顔面紅潮・悪心・嘔吐・発作性・反復性に見られる「アンタビュー様作用」があらわれる可能性があります。そのため投与期間中や投与後10日間は飲酒を控えてください。また構造内に「ニトロ基」を持っているので、発がん性の可能性を否定できないとされています。

またメトロニダゾールは胎盤を通過し、胎児へと移行して胎児に奇形を発生させる可能性があります。そのため妊婦へのメトロニダゾールの経口投与は禁忌とされています。 トリニダゾールもメトロニダゾールと構造が似ていて、副作用も同様のものを呈します。

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