インタビュー

トリコモナスの診断・治療方法

トリコモナスの診断・治療方法
尾上 泰彦 先生

プライベートケアクリニック東京 院長

尾上 泰彦 先生

この記事の最終更新は2015年12月01日です。

男性の腟トリコモナス症は症状がそれほどあらわれないため診断も容易ではありません。そのため診断は医師の力量によるものが大きいです。そして腟トリコモナス症は再発する難治例もあるため、適切な治療方法を要求されます。今回はトリコモナスの診断と治療方法について、臨床経験豊富な尾上泰彦先生に教えていただきました。

腟トリコモナスによる「非淋菌性尿道炎」の症状は、他の性感染症のものと変わりません。尿道の汁を採取、無染色標本を作成して動いているトリコモナス原虫を顕微鏡で確認する、もしくは培養検査を行って診断をしますが、これも容易ではありません。

泡状で黄緑色をした悪臭の強い帯下(おりもの)が腟トリコモナス症の特徴と言えます。しかしこうした症状は、感染者の約半数にしか確認することができません。腟トリコモナス症に感染している75%の方に腟の発赤がみられ、約90%の方に苺状の子宮腟部を認めることができます。 一般的に腟分泌物を採取して無染色標本を作製し顕微鏡で観察すると、活発に動いているトリコモナス原虫を見つけることができます。しかしごくまれに剥離細胞の陰に隠れたトリコモナス原虫を見落とすこともあります。このような場合には、腟トリコモナス培地による培養が有効です。

トリコモナス原虫(矢印先)

他の性感染症と同様に、腟トリコモナス症もパートナーと同時治療を行うのが基本です。日本性感染症学会では、男女ともにメトロニダゾールの経口薬250mgを1日2錠10日間の内服を推奨しています。このとき治療が不十分で追加治療が必要な場合は1週間投与期間を開ける必要があります。他にも近年の治療法としてメトロニダゾール1.5gの単回投与も勧められています。

女性の場合では、経口投与が難しい例では腟錠(腟坐剤)単独療法、難治例や再発例では経口薬と腟錠(腟坐剤)の併用による治療を行います。メトロニダゾールは胎盤を通り胎児の元へも流れるので妊婦への経口投与は避け、血中の移動がわずかにしか認められていない比較的安全な腟錠(腟坐剤)による局所療法を行います。産婦人科では臨床的に治癒が期待されているので内服薬を使わず、腟錠(腟坐剤)を腟内に挿入する治療が一般的になっています。

腟トリコモナスが治癒したかは、自覚・他覚症状ともに症状が消失したかで判断します。残存した腟トリコモナス原虫が月経血中で増加するので、女性の場合は更に次の月経の後にも腟トリコモナス原虫が消失したかどうかを確認する必要があります。メトロニダゾールの経口投与で90〜95%のトリコモナス原虫が死滅するのが確認されています。

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