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摂食障害の原因になりうるものとは? 家族関係の緊張によるストレスが関与する
摂食障害は若い女性を中心に発症する病気であり、有名なモデルやタレントが発症することも多いことから近年急速に注目を集めている病気のひとつです。小学生のうちからダイエットをする子どもがいるなど、痩身...
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摂食障害の原因になりうるものとは? 家族関係の緊張によるストレスが関与する

公開日 2015 年 12 月 18 日 | 更新日 2017 年 05 月 08 日

摂食障害の原因になりうるものとは? 家族関係の緊張によるストレスが関与する
石川 俊男 先生

国立国際医療研究センター国府台病院心療内科特任部長

石川 俊男 先生

摂食障害は若い女性を中心に発症する病気であり、有名なモデルやタレントが発症することも多いことから近年急速に注目を集めている病気のひとつです。小学生のうちからダイエットをする子どもがいるなど、痩身願望は年々若年化していると考えられ、患者数は今後も増えていく可能性を秘めています。摂食障害は先進国に特有の病気ともいわれますが、そもそもなぜ摂食障害はおこるのか、はっきりとした原因はわかっていません。ただし、原因になりうるものに対して様々な観点から研究がなされていいます。国立国際医療センター国府台病院心療内科特任診療部長の石川俊男先生にお話し頂きました。

摂食障害の原因―自信の喪失からダイエットに走り「痩せの賞賛」を得ようとする

摂食障害の原因は、主に臨床的な知見と生物学的な知見の2観点から追究されています。

・臨床的な知見

臨床的には、「直接的な原因」と「個人にとって引き金となった何らかの背景」があるといわれています。こちらは比較的理解しやすいといえるでしょう。

直接的な原因としては、ダイエットや体重が軽いことにメリットがあるアスリート(フィギュアスケートやマラソンなど)に対しての指導の問題、一般的な日本の価値観としての痩せの文化(痩せていることが美しいとされる)などが挙げられます。その他の何らかの背景として、「受験で失敗した」「進学したら成績が落ちた」など、生活の中で自信を失ってしまうような場面に遭遇したとき、摂食障害を発症するきっかけになるということが多いようです。

・生物学的な知見

摂食障害がなぜ起こるか、生物学的な原因については様々な研究がなされているものの、詳しいことはわかっていません。

セロトニンが脳内に不足している、などともいわれますが、決定的なものはまだ見つかっていないのが現状です。遺伝子研究も進められており、候補遺伝子(ここでは摂食障害を引き起こす可能性がある遺伝子のこと)は複数ありますが、その遺伝子を持っている方が摂食障害になるとはまだ確定しておらず、一概に述べることはできません。そのため現在ではまだ、生物学的な要因ははっきりしないのが現状なのです。

摂食障害とやせ願望―体重増加が恐怖の対象となる

現代の日本において、若い(特に10代~40代)女性はほとんどの方がやせ願望を持っているといえます。

摂食障害の診断基準は、肥満恐怖によって決まります。太りたくないという意志があるというよりも、どちらかというと「恐怖」つまり体重が増えるのが恐ろしいという感覚が著しいのが特徴です。

ここで、前述のようにほとんどの女性がやせ願望を持っていて、そのうち大半の方がダイエットに挑戦するのに、なぜ一部の方だけが極端に食べないという病気になってしまうのか、という疑問が起こります。しかし実はこの理由も、現時点では詳しくわかっていません。

摂食障害を発症する引き金になるその他の要因

上記以外の摂食障害発症の要因について考えてみましょう。

たとえば、『摂食障害を発症する患者さんが抱えるもの』で詳しく解説しますが、両親と築いてきた関係のなかでかなりの緊張状態があったために、怖い思いをした経験が多々あったのかもしれません。そのため、自分が何か社会的に逸脱すると怖いという気持ちがあり、それが肥満恐怖につながっているとも考えられます。

また、性的被害もきっかけになることが多いといわれます。しかし、患者さんの性的虐待の問題については、医療行為とはまた別のセンシティブな問題が入ってくることもあり、医師などの治療者が質問しにくいという現状です。摂食障害の治療者はその問題を無意識に素通りしていくケースがあり、患者さんは性的被害に関して触れられたときに、はじめてその話を打ち明けるきっかけが生まれます。ですから性的被害による摂食障害の場合、最初から理由が聞けるものではありませんし、患者さん自身も答えられないケースが多く見られます。

摂食障害の患者さんは、「理解してもらえない」という経験を多くしている方がほとんどです。そのため自己否定的で、コミュニケーション能力が低いといわれます。この結果、摂食障害の患者さんには基本的に集団が嫌いな傾向があります。

このように、摂食障害を発症する要因は多岐にわたり、一概に述べることはできませんが、基本的には人間関係が裏に潜んでいると考えられます。

東北大学医学部を卒業後、国立精神・神経センター精神保健所心身医学研究部部長を経て、2012年より国立国際医療研究センター国府台病院心療内科特任診療部長。日本摂食障害学会の理事長も務める。長く臨床の現場に携わり、これまでに摂食障害(神経性食欲不振症、神経性大食症)患者を2000人以上診療してきた。「熱くならずに、諦めるな」という治療方針のもと、一人一人の患者に寄り添った治療を続けている。

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