インタビュー

ワクチンの接種について―任意接種

ワクチンの接種について―任意接種
中野 貴司 先生

川崎医科大学 小児科学 教授

中野 貴司 先生

この記事の最終更新は2016年01月02日です。

予防接種には、予防接種法で規定された「定期接種」と、それ以外の「任意接種」が存在します。そのようなことから、「任意接種」は“接種したい方だけがするワクチン”と考えられがちですが、それは大きな誤解といえます。病気を予防するためには、定期接種と同じくらい大切なワクチンなのです。こちらでは、主に「任意接種」についてご紹介しています。引き続き川崎医科大学小児科学教授の中野貴司先生にお話し頂きました。

「任意接種」は、予防接種法で規定されていない、原則として費用が自己負担の予防接種です。ただし、場合によっては費用の一部が助成されます。

B型肝炎ワクチン(母子感染予防は健康保険適用)…不活化ワクチン

接種時期…10未満ならば0.25mLずつ計3回・10歳以上ならば0.5 mLずつ計3回

対象となる病気…B型肝炎

<備考>…B型肝炎ワクチンは時に生命にもかかわる病気です。2015年1月、広く小児に接種する方向性が示されました。医療関係者の予防にも用いられます。

 

●ロタウイルスワクチン…生ワクチン

接種時期…出生時・生後6週から接種可能

対象となる病気…ロタウイルス胃腸炎

<備考>…世界保健機構WHOにおいては、このワクチンを全ての子どもに接種することを推奨。

 

●おたふくかぜワクチン…生ワクチン

接種時期…1歳以上

対象となる病気…おたふくかぜ

 

インフルエンザワクチン(小児)…不活化ワクチン

接種時期…毎年10~12月中旬が適切

対象となる病気…インフルエンザ

<備考>…低年齢小児は高齢者とならんでインフルエンザが重症化しやすい。インフルエンザワクチンは、高齢者がB類定期接種の対象である以外は任意接種に分類されます。

 

A型肝炎ワクチン…不活化ワクチン

接種対象…流行地への渡航者に接種・1歳以上には接種を推奨

対象となる病気…A型肝炎

<備考>…A型肝炎は、年長児や成人の場合症状が長引く。肝臓に基礎疾患がある場合はハイリスク。

 

狂犬病ワクチン…不活化ワクチン

接種時期…犬に噛まれる前の予防(曝露前免疫)・犬に噛まれた後(曝露後免疫)

対象となる病気…狂犬病

<備考>…感染動物に噛まれても100%発病に至るわけではありませんが、発病したら死亡率は100%です。

 

黄熱ワクチン…生ワクチン

接種時期…黄熱感染者が多い国への渡航前

対象となる病気…黄熱

<備考>…蚊(ネッタイシマカ)が媒介するウイルス性出血熱です。野口英世がアフリカで亡くなったのはこの病気が原因でした。

 

破傷風トキソイド…不活化ワクチン

接種対象…小児期に破傷風トキソイドを含むワクチン(DPT)を受けていない世代では3回接種。接種歴があればおおむね10年ごとの追加接種。

対象となる病気…破傷風

<備考>…傷を負ったあと発症予防の目的で使われる場合もあります。

 

日本脳炎ワクチン(海外渡航者)…不活化ワクチン

接種対象…アジア地域の渡航者(小児は定期接種に含まれる)

対象となる病気…日本脳炎

<備考>…過去の接種歴によって推奨スケジュールが示されます。

 

髄膜炎菌ワクチン…不活化ワクチン

接種対象…2歳~55歳の健常者

対象となる病気…侵襲性髄膜炎菌感染症(しんしゅうせいずいまくえんきんかんせんしょう・IMD)

<備考>…2015年5月から接種できるようになりました。発症から24~48時間以内に患者の5~10%が死亡するといわれています。

 

※接種対象や接種時期はあくまでも標準的なものであり、各医療機関に必ず確認を取ってください。

※海外旅行者に推奨されるワクチンはB型肝炎・A型肝炎・狂犬病・黄熱・破傷風・日本脳炎・髄膜炎菌などです。

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