インタビュー

疥癬の検査・診断

疥癬の検査・診断
尾上 泰彦 先生

プライベートケアクリニック東京 院長

尾上 泰彦 先生

この記事の最終更新は2016年01月01日です。

疥癬の検査でのヒゼンダニの検出率は10〜70%といわれているために、疥癬は診断を下すことは難しい疾患であるといわれています。疥癬の検査や診断はどのように行われるのか、臨床経験豊富な尾上先生に伺いました。

疥癬の検査には、顕微鏡検査とダーモスコピー検査があります。どちらの検査もヒゼンダニを検出することで疥癬を診断します。しかし、通常疥癬ではヒゼ ンダニの数が少なく、検出できるのは10%〜70%のために、医師の検査技術の向上と期間を空けての複数部位の繰り返しの検査が必要となります。

疥癬トンネルや皮膚の隆起している部分から組織片を採取します。採取する方法には、眼科用ハサミで先端を切除して採取する方法、メスで表面を数回こすり採取する方法、小さなピンセットでこそぎ取る方法、拡大鏡で先端を確認しながら注射針でヒゼンダニを採取する方法があります。

採取した検体をスライドガラスにのせて、水酸化カリウム(KOH)をたらしカバーガラスをのせて顕微鏡で100倍に拡大して観察します。このとき虫体、体 部、脚、虫卵、虫卵の抜け殻、糞などを見つけることを目的とします。

ヒゼンダニを効率的に見つけるために、ダーモスコープなどで疥癬トンネルを拡大して検査します。高齢者では手掌のしわの上でY字型の皮疹(水尾徴候: みおちょうこう)にも注意が必要です。

また、角化型疥癬では、虫卵から幼虫、若虫、成虫までのすべての段階での無数のヒゼンダニが寄生しています。そのため、角化型疥癬を疑った場合は、顕微鏡検査で容易に観察することができます。

ダーモスコープによりヒゼンダニを見つけることができた場合にも疥癬と診断します。おおよそ0.4mm×0.3mmの大きさのメスのヒゼンダニは、疥癬トンネルの先端部に、黒褐色の頸体部と前二対の脚、続いてほぼ透明な円形の虫体が観察されます。なお、疥癬におけるダーモスコピー検査は保険適用ではありません。

同じ集団生活の場で2ヶ月以内に2人以上の疥癬患者さんが見つ買った場合、これを疥癬の集団発生と称します。集団発生を確認した場合には、まず感染源を特定する必要があり、集団生活している方々の検査を開始します。そのとき、疥癬患者さんと接触機会があるかどうかも調べる必要があります。

疥癬の診断は、患者さんの症状、顕微鏡検査やダーモスコピー検査などの検査によるヒゼンダニの検出、疥癬患者さんとの接触機会、疥癬患者さんの集団発生などの流行状況の3点を検討して診断します。

顕微鏡検査やダーモスコピー検査などでヒゼンダニを確認することができれば確定診断となります。しかし、これらの検査が陰性の場合にも、患者さんの症状や疥癬患者さんとの接触機会などから疥癬を除外することができない場合には、期間を空けて繰り返し検査を実施します。

通常疥癬ではヒゼンダニの寄生している数は少ないので、確定診断を下すためにヒゼンダニの検出を繰り返し行う必要があります。

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