インタビュー

C型肝炎の原因-C型肝炎ウイルスとはどのような存在なのか

C型肝炎の原因-C型肝炎ウイルスとはどのような存在なのか
尾上 泰彦 先生

プライベートケアクリニック東京 院長

尾上 泰彦 先生

この記事の最終更新は2016年01月01日です。

C型肝炎ウイルス(hepatitis C virus:HCV)がどのようにして体内に侵入するのかについては「C型肝炎の感染経路-性交渉と母子感染」ですでにご説明しました。このHCVが体内に侵入した後の体内では、いったいどのような変化が起きているのでしょうか。

B型肝炎ウイルス(hepatitis B virus:HBV)と比較して血液や体液中のウイルス量は少ないため、HBVと比べて感染力は弱いといわれています。しかしHCVが体内に侵入して一時的に症状があらわれる急性肝炎のうち62~77%は慢性化(キャリア化)すると考えられています。症状が慢性化すると肝硬変へ進展、肝臓がんとなる確率が高いために注意が必要です。

HCVは直径50nm(ナノメーター:10億分の1メートル)のウイルスです。中心にRNAと呼ばれる遺伝情報を持ち、RNAの周辺を囲むコア、2種類の外殻という構造になっています。HCVに感染しているかを調べるときに重要になるのは、中心部のHCV-RNAとHCVコア抗原です。

HCVの遺伝子です。このHCV-RNAの陽性反応が出ると、体内にHCVが存在しているということになります。C型肝炎の治癒判定を行う際にはこのHCV-RNAの有無を調べます。

HCVの内部にあるタンパク質です。HCVに感染しているかを調べるときには、このHCVコア抗原の有無を調べますが、HCV-RNAの有無を調べる検査よりも精度が低いといわれています。

HCVに対抗するために、体内ではHCV抗体というタンパク質が作られます。HCV感染の有無を調べるとき、一般的にはまずこの抗体の有無を調べます。この抗体値が低いとかつてHCVに感染していた、高いと現在感染している可能性があります。

少なくとも1~6までのジェノタイプ(遺伝子型)とそれぞれのサブタイプ(亜種)が確認されています。日本国内ではジェノタイプ1b(約70%)2a(約20%)2b(約10%)が確認されています。

HCVによる急性C型肝炎が慢性化すると、肝硬変や肝臓がんなどへと進行するリスクが高まります。C型肝炎と同じように性感染症として扱われるB型肝炎には、ワクチンの接種によって防御抗体を作るという予防策がありますが、C型肝炎のワクチンは現在のところ存在していません。

HCVは血液や体液を介しての感染が大半ですが、性行為等が感染経路となることもあるため、C型肝炎は性感染症として認識する必要があります。不特定多数と性交渉をしない、コンドームを使用するなどしてリスクを減らすよう心がけてください。

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