インタビュー

高血圧クリーゼ(褐色細胞腫クリーゼ)とは。家庭でできる対処法・再発予防のために

高血圧クリーゼ(褐色細胞腫クリーゼ)とは。家庭でできる対処法・再発予防のために

医仁会武田総合病院 内分泌センター長

成瀬 光栄 先生

この記事の最終更新は2016年06月20日です。

褐色細胞腫はCTやMRIによる検査で偶然発見されるケースが最も多くなっていますが、その次に多いのが高血圧クリーゼによる救急搬送で見つかるケースです。では高血圧クリーゼとはどのような病態なのでしょうか。またクリーゼの対処・予防にはどのようなことに気をつければいいのでしょうか。引き続き京都医療センター 臨床研究センターの成瀬光栄先生にお話を伺いました。

血圧が急激に上昇してしまうために、ただちに血圧を下げる必要がある状態を高血圧クリーゼといいます。褐色細胞腫ではこのような急激な血圧の変動が生じやすく、特に褐色細胞腫によって引き起こされる高血圧クリーゼを褐色細胞腫クリーゼとも呼びます。急激な血圧の上昇をきたした状態を放置しておくと、元に戻らない重篤な臓器障害が起こる可能性があり、とても危険です。

高血圧クリーゼの症状として、まずは血圧が急激に上昇します。診断基準としては、血圧が収縮期圧で180以上、または拡張期圧で120以上を超えることが多くみられます。もしこのような高い数値が出た場合には、念のためもう一度血圧を測定し直しましょう。また、その際激しい頭痛・強い不安感・息切れ・鼻出血といった症状があらわれるのは危険な兆候です。

褐色細胞腫クリーゼの場合、このような症状のほかに、発汗・動悸(胸がドキドキする)・頻脈(脈がはやくなる)・胸痛(胸が苦しい)・体重減少といった症状が出ることもあります。これらの症状が現れたら血圧が下がるのを待つのではなく、すみやかに救急受診をするようにしてください。このような状態を放置しておくと、肺に水が溜まったり、脳出血をおこしたり、脳がむくんできたり、大動脈(心臓から出る太い血管)が破裂したりする危険性もあります。

高血圧クリーゼの原因が褐色細胞腫だという診断がついた場合、手術によって摘出することでほとんどの患者さんは治り、その後高血圧クリーゼを起こすことはありません。

ただ、手術までの期間は腫瘍にあまり刺激を加えないことが大切です。例えば腰を曲げてお腹を圧迫する・運動する・トイレで強くいきむ・ゴリゴリと腫瘍のあるお腹を強く圧迫するといった行為はやめましょう。また吐き気止めの塩酸メトクロプラミドを服用するとカテコールアミンが上昇するという副作用があることから注意が必要です。

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