インタビュー

原発性アルドステロン症に対する新たな検査とは

原発性アルドステロン症に対する新たな検査とは

医仁会武田総合病院 内分泌センター長

成瀬 光栄 先生

この記事の最終更新は2016年06月20日です。

原発性アルドステロン症とは、アルドステロンという副腎皮質ホルモンの一つが過剰分泌になるため、高血圧症状をきたす病気です(詳細は『高血圧の原因として重要な「原発性アルドステロン症」とは』)。原発性アルドステロン症の患者さんは現在日本に約300~400万人いると考えられています。褐色細胞腫の患者数に比べると患者数も多く、高血圧患者の約3~10%が原発性アルドステロン症といわれます。また、治療が難しい高血圧(治療抵抗性高血圧)患者の約20%は原発性アルドステロン症が原因とも考えられています。今後の原発性アルドステロン症の治療について、引き続き京都医療センター 臨床研究センターの成瀬光栄先生にお話を伺いました。

現在の日本内分泌学会のガイドライン(治療方針)によると、原発性アルドステロン症と診断された場合は、通常外科手術または薬物療法を行います。手術を希望する場合には、まず事前の検査として腹部CT検査で病変や副腎静脈の走行を調べ、副腎静脈サンプリングを行い、病変が副腎の片方のみなのか両方にあるのかを判定します。

副腎静脈サンプリングとは、カテーテルと呼ばれる細いチューブを太ももの血管から挿入し、アルドステロンが過剰に産生されている部位を特定する検査です。しかし、カテーテルは医師側の技術習得も難しく、医療費もかかります。現在患者さんが約300~400万人もいる疾患において、最終的な診断のためにカテーテル検査を実施するのは現実的ではありません。実際に、現在原発性アルドステロン症の最終的な診断のために施行されているカテーテル検査は、年間わずか1000~2000例程度と考えられます。

原発性アルドステロン症の9割のケースにおいて、薬を飲む薬物治療だけで血圧コントロールが可能となっています。またその後の経過も良好な疾患です。一方、カテーテル検査では患者さんの負担も大きく、合併症が生じる可能性もあります。今後は全例にカテーテル検査を推奨するのではなく、本当に必要性の高い患者さんの基準を新たに設けていくことが必要だといえます。

また他の検査方法として、PETによる診断も検討されています。PETは現在がんの検査方法のひとつとしてすでに広く用いられていますが、非侵襲的(患者さんの体への負担が少ない)な方法のため、原発性アルドステロン症への応用も注目されています。

これだけ多くの患者さんがいるということは、誰でもどこでも同じ検査・治療を受けられるように診療方針を整備していかなければなりません。今後は標準治療の底上げに尽力したいと考えています。

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