インタビュー

副鼻腔炎の治療方法

副鼻腔炎の治療方法
西池 季隆 先生

大阪労災病院 耳鼻咽喉科・頭頸部外科 部長、大阪大学 医学部 臨床教授、徳島大学 非常勤講師

西池 季隆 先生

この記事の最終更新は2016年02月07日です。

副鼻腔炎の治療方法には、大別して局所療法、薬物療法、外科療法(手術)があります。局所療法、薬物療法で治癒しない場合、手術を行うことになりますが、好酸球性副鼻腔炎副鼻腔真菌症では、局所療法、薬物療法を効果的に行うため、手術を先に済ませるケースもあります。それぞれの症状に適した治療法ついて大阪労災病院耳鼻咽喉科・頭頸部外科部長の西池季隆先生にお話をお伺いしました。

局所療法のうち「鼻吸引」は、局所麻酔薬や血管収縮薬を使って鼻腔の粘膜の腫れを抑え、や鼻水を吸引してきれいにした後、鼻の中に薬剤を吹きつける治療法です。この治療を施すことにより、鼻づまりが楽になります。

「鼻洗浄」で、生理食塩水を使って鼻腔と副鼻腔を洗う治療を行ってもらうこともあります。上顎洞に直接針を刺して、抗菌のための薬を注入することもあります。

急性副鼻腔炎の場合、ほとんどが薬で治療できます。

薬物療法の場合は、ペニシリンなどの抗生剤を内服します。急性副鼻腔炎は細菌感染によることが多く、まず原因菌を取り除く必要があるからです。また、鼻汁の粘りが強い場合は消炎酵素剤や粘液溶解剤を、また炎症を鎮めるために解熱鎮痛薬なども併用します。

「ネブライザー療法」は患部に直接薬剤を噴霧する治療法です。ネブライザーとよばれる装置を使って、抗菌薬やステロイドを含んだ霧状の薬液を鼻から吸い込むことによって、副鼻腔の中に薬剤が送り込みやすくなります。

慢性副鼻腔炎の場合は、マクロライド系の抗生剤を長期間飲み続ける場合もあります。その他に、気道にたまった粘液を取り去って痰や鼻水を出しやすくする消炎酵素剤なども併せて使われます。薬を長期間投与しても改善がみられない場合は、外科療法(手術)も検討します。

副鼻腔炎の多くは薬物療法や局所療法で治療し、もし治らなかった場合には手術を施すという場合が大半です。しかし中には先に手術をするケースもあります。副鼻腔真菌症(副鼻腔にカビの真菌が増殖する病気)では、局所療法や薬物療法の効果を妨げる真菌を手術で取り除かなければなりません。真菌が身体の奥に侵入して取り除くことができない場合は、抗真菌薬を使います。

好酸球性副鼻腔炎(粘膜や鼻茸に、白血球の一種である「好酸球」が過剰に集まる病気)の場合、慢性副鼻腔炎で使われる抗菌薬では効果がありません。そこでまず手術で副鼻腔の一部の壁を取り除き、複雑な構造の副鼻腔を一つの大きな空洞にします(単洞化)。この単洞化によって鼻洗浄などが効果的に行えるようになります。またネブライザー療法などの局所療法の効果がより出やすくなります。その後、ステロイド薬を内服し、経過観察します。

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