インタビュー

NASHの臨床研究で「吹田から世界へ」

NASHの臨床研究で「吹田から世界へ」
岡上 武 先生

大阪府済生会吹田病院 名誉院長

岡上 武 先生

この記事の最終更新は2016年02月10日です。

大阪府済生会吹田病院総長の岡上武先生は、72歳になる今も、NASHの研究・臨床の現場に立っておられます。

先生はこれまで、NASHの発症・進行にかかわる遺伝子、診断をより正確・簡便にするバイオマーカーを見つけてこられました。「最終的には治療薬を開発することが最大の目標」とおっしゃる岡上武先生に、今後の展望についてお伺いしました。

私は63歳の時に、当院の院長として赴任しました。周辺には多くの大病院が集積しており、決して存在感のある病院とはいえませんでした。そこで、NASHの臨床・研究に力を注ごうと決めました。「吹田から世界へ」という思いで日々の臨床、研究に当たっています。

その成果として、最近、単純な脂肪肝(NAFL)かNASHかどうかを簡易な血液検査によってより正確に鑑別できるバイオマーカーを開発しました。1泊2日の入院が必要な肝生検に比べ患者さんへの体の負担も軽くて済みます。

また、薬の開発も進んでいます。大日本住友製薬が導入したオベチコール酸®の治験も進んでおり、このほかにも札幌医大の新津洋司郎名誉教授が開発した有望な薬剤の治験も始まろうとしています。

私は2016年1月で72歳になりましたが、今なお研究と臨床の現場に立っています。「そのモチベーションは?」と問われれば「興味」です。興味がなくなれば明日にでもやめます。自分でNASHの発症・進行にかかわる遺伝子を明らかにし、診断をより正確・簡便にするバイオマーカーを見つけたいと思い、取り組んできました。幸いバイオマーカーも発見でき、NASHの臨床・研究で花が咲いたと思っています。

最終的には治療薬を開発することが目標です。現在それについて当院を拠点として治験が進んでいます。「吹田から世界へ」という志を持って、市中病院でも世界で戦えるのだということを職員、医師にも伝えたいと考えています。

モチベーションを持って仕事を続けるために大切にしていることは、自分の仕事に興味を持つことです。このほかに、日々疑問を持ち、そして疑問を解決するために努力するよう職員にも伝えています。

 

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