インタビュー

もやもや病(ウィリス動脈輪閉塞症)とは 症状と受診のポイント

もやもや病(ウィリス動脈輪閉塞症)とは 症状と受診のポイント
吉村 紳一 先生

兵庫医科大学 脳神経外科 主任教授/診療部長/脳卒中センター長

吉村 紳一 先生

この記事の最終更新は2016年02月19日です。

もやもや病」という病名を聞かれたことはありませんか?これは脳の病気であるのですが「頭がなんだかもやもやとした感じがする病気」と思われる方も多いかもしれません。しかし実際には違います。ではどのような病気なのでしょうか。概要から一般的な症状、受診のポイントなどについて兵庫医科大学脳神経外主任教授の吉村紳一先生にお話を伺いました。

もやもや病」は進行性(症状が悪化してしまう)の脳血管閉塞症です。脳の左右にある太い血管「内頚動脈(ないけいどうみゃく)」が徐々に狭くなり、そのために脳の血流が悪くなるという疾患です。一般的に脳に血液が足りなくなると手足のしびれや麻痺、言語障害などの症状が出ることがあります。

もやもや病の患者さんの脳内では脳梗塞を防ぐため、もともとあった細い血管が脳の血流維持のために「異常に」拡張します。「脳梗塞を防ぐために血管が広がる」というと一見問題がないように思えますが、それでも血流が足りなくて脳梗塞を起こしたり、とても細い血管に大量の血液が流れるため、血管が切れてしまい、脳出血を起こしてしまうのです。健康な方ではこのような血管網が築かれることはありません。

このもやもや病は現在はっきりとした原因がわかっておらず、国の指定難病に認定されています。

もやもや病はかつて「ウィリス動脈輪閉塞症」と呼ばれていましたが、2003年度より「もやもや病」という病名に統一されました。「ウィリス動脈輪閉塞症」という病名ではわかりづらいということと、アジア系の人々の罹患率が高いことから日本語の「もやもや病」という呼び名が一般的になりました。国際的にも「Moyamoya Disease」という名前が広く使用されています。

「もやもや病」というと「頭がもやもや・ぼんやりしてしまう病気」と思われるかもしれませんが、MRIなどで脳の血管の画像を撮影すると、細かい異常な血管網がタバコの煙のように「もやもや」と写ることからこのように呼ばれています。

子どもであれば、熱い麺類を冷まそうと息を「フーフー」と吹きかけたとき・大声で泣いたとき・笛などの吹奏楽器を演奏したときなど、大きな呼吸を短い時間に繰り返すときに起こる過呼吸によって発症するのがこの病気の典型です。一過性の脳虚血発作(TIA症状:脳の一部の血液の流れが一時的に悪くなることで、半身の運動まひなどの症状が現れ、24時間以内(多くは数分から数十分)に完全に消えてる症状)が起こり、手足の脱力や言語障害などの症状が出ます。また、朝方に頻繁に頭痛を訴えたりすることもあります。

健康な子どもの場合、頭痛を頻繁に訴えることはありません。ですから、繰り返す頭痛は脳の異常の可能性があるため、専門医の診察をなるべく早く受けるようにしてください。

大人でも同じように一過性の脳虚血発作を起こす場合がありますが、子どものように顕著に症状が現れないことが多いので見過ごされがちです。そのため、脳梗塞脳出血を起こしてしまってからわかる場合が多いのです。

ふとしたときに視覚の異常を覚える(片目が見えづらい・ものが二重にみえるなど)・転倒しやすくなった・一時的な手足の麻痺や言葉の異常なども、もやもや病の症状の可能性があります。早めに病院を受診してください。

もやもや病はアジア系の人々に多い疾患です。日本に限りますと、10万人の内、約6~10人に患者さんがいるといわれています。昭和57年に最初に登録された患者数は599人で、平成25年では1万6086人もの患者さんがいることがわかっています。これは単に患者数が増えたというよりも、この病気が広く認知されるようになったために診断数が増えたものと考えられます。

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