【インタビュー】

生物学的製剤を用いた関節リウマチ治療

公開日 2016 年 02 月 24 日 | 更新日 2017 年 05 月 08 日

生物学的製剤を用いた関節リウマチ治療
守田 吉孝 先生

川崎医科大学 教授 川崎医科大学附属病院 リウマチ・膠原病科 部長

守田 吉孝 先生

関節リウマチを患っている患者さんは、日本で約80万人もいるといわれています。近年、日本で保険適用が認められ、数多くの効果を示している生物学的製剤に注目が集まっています。生物学的製剤とはいったいどういった薬なのでしょうか? また、生物学的製剤を利用するにあたって私たちが気をつけるべきことには何があるのでしょうか? 川崎医科大学 リウマチ・膠原病学教授 守田吉孝先生にお話を伺いました。

※本記事は、守田吉孝先生ご監修「生物学的製剤を使用中の患者さんの声をもとに(2015年作成)」をもとにしています。

生物学的製剤とは

概要

生物学的製剤とは、最先端技術によって作られた医薬品で、日本では2003年から関節リウマチに対して使われ始めました。生物学的製剤には、この薬が作用する相手という観点で分けると、炎症性サイトカイン(免疫細胞同士の情報伝達などに利用される)に作用するものとT細胞(免疫細胞の司令塔としての働きをもつ)に作用するものの2つの種類があります。これらは、関節炎や軟骨・骨の破壊に関係しているので、どちらに作用するにしても、生物学的製剤は、関節の破壊を抑制する効果が優れていると言われています。

どうして生物学的製剤がリウマチ治療に使用されるのか

関節リウマチとは

関節リウマチは、様々な要因がもとで、体の免疫システムが自分の体の正常な部分(関節リウマチでは、特に関節)に反応してしまい、攻撃してしまう病気です(免疫システムは例えば菌やウイルスなど自分の体以外のものに反応し、体をそれらから守る働きがあります)。関節が攻撃されてしまう結果、関節に炎症が起き、軟骨や骨が破壊されます。また関節以外の場所にも攻撃する可能性もあり、肺、心臓、眼などが標的となることもあります。その結果、全身のだるさ、発熱、関節の痛み、関節の変形、眼の違和感・充血などがみられることもあります。

免疫システムとは

では、免疫システムはどのようにして、私たちの身体を異物から守ってくれているのでしょうか? 免疫システムには多くの種類の細胞があり、それらが関わりあうことで異物(ウイルスや細菌など)を攻撃したりし、それらから私たちの身体を守っています。この細胞達の関わり合い(=情報の伝達)にサイトカインが使われます。また、免疫システムの司令塔としての役割をT細胞は担っています。

関節リウマチでは、T細胞が誤って自分の身体に反応してしまい、自分の身体を攻撃するように司令するようになってしまいます。多くの免疫細胞に働きかける結果、サイトカインも多量に分泌され、免疫細胞が自分の身体を攻撃してしまうことで発症します。

守田吉孝先生監修 
「小冊子:関節リウマチの薬物治療ハンドバック(ファイザー/武田薬品発行)」から転載

関節リウマチの治療について

関節リウマチの治療薬は、1990年代にメトトレキサート(MTX)が登場し、治療成績は大きく向上しました。しかしながら、それでも有効なのは患者の半数程度であり、新しい治療薬が待望されていました。2003年以降登場してきた生物学的製剤は、自分の体を誤って攻撃する病的な免疫反応を選択的に抑えることで、より効果的に関節リウマチの症状を抑えます。特にその治療効果は、従来から使用されてきたMTXとの併用で顕著でした。

生物学的製剤は、司令塔であるT細胞が自分の身体に反応することを防いだり、分泌されたサイトカインが働かないようにすることで、関節リウマチの進行や症状を抑えます。

さらに最近では、JAK(ジャック)阻害薬という新しい薬も登場しています。この薬は注射剤である生物学的製剤とは異なり、飲み薬なのですが、関節リウマチの炎症に関わる複数のサイトカインとT細胞の過剰な反応を同時に抑えることができることが特徴です。新しいお薬なので、長期的な安全性についての検討が課題ですが、有効性はとても高いです。

川崎医科大学 リウマチ・膠原病学 ウェブサイト

 

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