インタビュー

男性更年期障害の診断・治療

男性更年期障害の診断・治療
松田 公志 先生

関西医科大学附属病院 病院長、泌尿器科学講座 教授/評議員・理事

松田 公志 先生

この記事の最終更新は2016年03月21日です。

男性更年期障害は、症状の診察とともに男性ホルモンの量を測って診断を下しますが、症状のよく似たうつ病との区別が難しいとされています。関西大学腎泌尿器外科学講座教授の松田公志先生に、男性更年期障害の診断、治療の実践についてお話を伺いました。

またAMS(Aging Male Symptoms rating scale)スコア(男性更年期障害にみられる症状がどれくらい当てはまるのかをみるための問診票)、うつなどの精神疾患との鑑別を行い、総合的に診断を行います。

「テストステロン」は主に精巣でつくられる男性ホルモンで、SHBG結合型・アルブミン結合型・遊離型の3つに分かれます。現在は総テストステロン値と遊離型テストステロン値を測っています。

また、男性ホルモン補充療法を行う場合には併せてPSA(前立腺特異抗原)の検査を行います。PSAは前立腺がんの疑いを測定するために行うものです。男性ホルモンは前立腺がんを進行させる働きがあるため、PSAの値が高い人には男性ホルモン補充療法を行うことができません。

AMSスコアは自己記入式の問診票で,心理的因子5 項目・身体的因子 7 項目・性機能因子17 項目の質問から構成されています。各項目とも5 段階で評価し、総合点で評価します。また、うつ病かどうかの診断も併せて行います。

男性更年期障害を診断する上で難しい点は、うつ病とどう区別するかです。

重症のうつ病の場合は判断できますが、軽症のうつ病の場合、男性更年期障害との区別は非常に難しくなります。なぜなら、うつ病になると性機能も悪くなり、男性ホルモンも低めになることがあるからです。

そこで私は、心・体・性機能の3つに症状が現れているかどうかをまず診ます。その上でテストステロンの値を測って、明らかに高いということでなければ、注射による男性ホルモンを補充する治療法を一度行い、効果があるかどうかを調べます。その結果、症状が快方に向かえば「男性ホルモンが低かったから男性更年期障害だった」と判断することができ、継続的な治療に移ることができます。

当院の「男性更年期障害外来」を受診された800人ほどの方のうち、ホルモン補充療法を行う方は約60%ほどです。効果があった方は、そのうちの約50%ほどです。

そうなりますと残りの半分の方は「男性ホルモンが少し低めで注射をしたけれどもよくならなかった」ということで、更年期障害と同じような症状は出ているものの、うつ病や体力の減退などを疑うことになります。この場合は専門医に診てもらい、適宜抗うつ薬などによる治療を受けてもらいます。

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