インタビュー

多発性筋炎・皮膚筋炎の症状

多発性筋炎・皮膚筋炎の症状
村田 顕也 先生

和歌山県立医科大学 教育研究開発センター 教授

村田 顕也 先生

この記事の最終更新は2016年03月21日です。

多発性筋炎皮膚筋炎は、筋症状のみの場合は、直接「死」の危険が伴う病気ではありません。しかし、間質性肺炎などを併発すると致命症になる場合もあります。この疾患の合併症などについて、和歌山県立医科大学神経内科学講座准教授の村田顕也先生にお話をうかがいました。

多発性筋炎皮膚筋炎では、まず「疲れやすい」「階段が昇りにくい」「トイレで立ちあがるのが大変になった」など、これまでは普通にやっていた動作が簡単にできなくなるといった症状が現れます。これは「四肢近位部」という身体の中心部(体幹といいます)に近い四肢の付け根に近い部分の筋力低下が起こるからです。

さらに「食べ物が飲み込みにくい」「布団から起き上がれない」などの症状が起こります。主に二の腕や太ももなどの胴体に近い部分や首を前屈させたりする動きが行いにくいなどの自覚症状が出ます。筋肉痛は自覚しないこともありますが、圧痛を認めることや、関節痛などはよく見られます。また食欲不振、体重減少などもあります。

胴体部・首を含めた四肢近位部・咽頭筋(食べ物や水分を飲み込む際に使う筋肉)の筋力の低下があります。症状として現れる「階段が昇りにくい」というのは太ももの筋肉、「トイレで立ち上がりにくい」というのは、お尻の筋肉が低下してくるからです。咽頭筋をはじめとする嚥下(えんげ:飲み下すこと)に関係する筋力の低下は誤嚥(ごえん:食物などが誤って喉頭と気管に入ってしまう状態)の原因となります。炎症によって筋肉が壊死し、再生が間に合わないと筋肉が萎縮し筋量が減っていきます。

上まぶたが紫紅色に腫れる「ヘリオトロープ疹」や、指の関節の背側が赤く固くなってカサカサする「ゴットロン徴候」、胸や肩に紅斑が広がる「ショール徴候」などが見られます。また、筋肉症状が出る前に皮膚症状が出るケースもあるので、皮膚症状が出たときに皮膚筋炎が疑われることもあります。

関節

関節痛や関節炎の症状が出ますが、リウマチのように関節が変形することはありません。

レイノー症状

冷たいものに触れた時・寒い時などに、血液の流れが悪いために手足の指先が蒼白や暗紫色になるレイノー症状が出ることあります。

間質性肺炎

咳がでたり、動くと息切れしたり、呼吸が苦しいといった症状が出た場合は間質性肺炎を合併している恐れがあります。血液検査による間質性肺炎のマーカーに加え、胸部のX線検査やCT検査など行って診断します。

心臓

炎症で心臓の筋肉が侵されることによって不整脈が出現したり、心臓の力が弱まることがあります。心臓に関しては特に気をつけないといけない症状です。

筋炎は、「混合性結合組織病」「全身性エリテマトーデス」「強皮症」「シェーグレン症候群」などの部分症状として発症することがあります。混合性結合組織病はレイノー症状があり、関節炎・手の腫れ・筋力低下・嚥下困難・胸やけ・息切れがあります。

全身性エリテマトーデスは、病名の通り体中どこにでも症状が起こります。発熱・腎障害・心肺病変・血液異常などがみられます。とくに、中枢神経に病変ができたり、腎障害があったりすると生命への危険度が高くなります。

強皮病は指先が腫れから始まって皮膚が硬くなり、レイノー症状がみられます。さらに肺・腎臓障害などの全身症状に広がっていくことが多い病気です。

シェーグレン症候群は口・鼻・皮膚など全身のさまざまな分泌腺が異常となり身体が乾燥状態になる病気です。

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