インタビュー

アトピー性皮膚炎の検査・診断

アトピー性皮膚炎の検査・診断
江藤 隆史 先生

あたご皮フ科 副院長

江藤 隆史 先生

この記事の最終更新は2016年03月07日です。

アトピー性皮膚炎の原因については、「記事1:アトピー性皮膚炎とは その原因と症状」で東京逓信病院 副院長の江藤隆史先生に詳しくお話し頂きました。この記事では引き続き、アトピー性皮膚炎の検査方法、そして参考となる値についてお伺いします。

アトピー性皮膚炎の重症度やその進み具合の参考となる検査には、末梢血好酸球数・血清総 IgE 値・LDH値・TARC値などがあります。短期的に進行度合いを測れる検査としては LDH値・TARC値などが挙げられます。特にTARC値は皮膚の状態を敏感に反映する値として、大変有用な検査です。こちらは2008年から健康保険が適用される検査になりました。(※日本皮膚科学会 アトピー性皮膚炎診療ガイドラインより

今までは一般的に、血清総IgE値がアトピー性皮膚炎の指標とされてきました。この値は、何に対してアレルギーがあるのかを知る指標としては大変重要な値です。ただ、アレルギー体質であるかどうかを調べているようなものですので、アトピー性皮膚炎の進行度合はほぼ反映しません。ですから、血清総IgE値の高い・低いによって、アトピー性皮膚炎を発症する・しない、重症である・軽症であるということはわかりません。

アトピー性皮膚炎の指標としては、TARC値が大変有用です。なぜなら、皮膚の状態が値で表されるので、アトピー性皮膚炎を順調に治療できているかを確認できますし、値が下がれば症状も治まっていくという、目に見えた治療の目標を持つことができるためです。

重症の方は3,000pg/mlを超える場合もありますし、治療でおおよそ700pg/ml以下まで下がると、アトピー性皮膚炎とはわからない程度に肌がきれいになってきます。

私も患者さんを診ていて、はっきりと相関関係があると思っています。例えば「掻き傷が多い」と感じた方はTARC値が高いですし、「肌がつるつるしてきた」と感じた方はTARC値が低いです。月1回までしか検査はできませんが、それほど頻繁に検査する必要もないでしょう。ただ定期的に検査を行うことで、適切な治療法を患者さんに指導することができます。

末梢血好酸球数(アレルギーと関わりが深い白血球の一種。アレルギー疾患があると高くなる)もTARC値ほど細かな指標ではありませんが、同じくアトピー性皮膚炎の症状悪化と相関関係があります。

LDH値(乳酸脱水素酵素:細胞の中で糖をエネルギーに変換する際に必要な酵素)も指標の一つで、肝機能の項目に入っている検査値です。皮膚の症状が悪化する(炎症がひどくなり皮膚の細胞が壊される)とこの値も上昇します。

以上がアトピー性皮膚炎において症状の進行度合いの目安となる検査項目です。ご自身が本当にアトピー性皮膚炎なのかどうか、症状がどこまで進んでいるのか気になられる方は、検査を受けられることをおすすめします。

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