インタビュー

角膜感染症の症状と検査-緊急性が高い眼の病気

角膜感染症の症状と検査-緊急性が高い眼の病気
水流 忠彦 先生

国際医療福祉大学 教授

水流 忠彦 先生

この記事の最終更新は2016年03月11日です。

一般的には黒目と呼ばれる「角膜」に傷がつき、そこから細菌やウイルス、原虫などが侵入し、繁殖してしまう目の病気を「角膜感染症」といいます。角膜感染症はコンタクトレンズの不適切な使用やドライアイなどが誘因となって発症することが多く、あらゆる眼疾患のなかでも比較的身近な疾患のひとつであるといえます。本記事では角膜感染症の自覚症状や、診断のために眼科で行われる検査について、国際医療福祉大学病院眼科教授の水流忠彦先生にお話しいただきました。

  1. 細菌による細菌性角膜炎
  2. 真菌(カビ)による真菌性角膜炎
  3. アカントアメーバによるアカントアメーバ角膜炎
  4. ヘルペスウイルスによるヘルペス性角膜炎

このうちのいずれに該当するかによって、細かな症状は異なりますが、共通する典型症状として以下のようなものが挙げられます。

  • 眼の痛み/光が眩しく感じる/結膜充血(白目の充血)/まぶたの腫れ/視力低下(目のかすみ)/流涙(涙が出る)

角膜には刺激に敏感な知覚神経が数多く存在するため、「痛み」症状が最も多くみられます。また、同じく刺激である「光」を眩しく感じることも角膜感染症の主症状のひとつです。これらの症状に思い当たりがある場合は、放置せず速やかに眼科を受診しましょう。というのも、角膜感染症は様々な眼疾患の中でも進行がはやく、重症化すると視力障害が残ってしまうケースも多いからです。これに加え、重症化すると角膜が融けて穿孔(角膜に穴が開くこと)してしまったり、稀ですが角膜移植が必要になる症例もあります。このことからも、角膜感染症は比較的緊急性が高い病気であるといえます。

角膜感染症を診断するために、眼科では次のような検査を行います。

角膜感染症のひとつのサインとして、視力低下の症状が挙げられます。そのため、眼の痛みが強く検査できないという方を除き、視力検査は必ず行います。

問診では、いつ何によって受傷したか、コンタクトレンズの使用の有無などを患者さんに質問し、発症のきっかけや進行の度合い、再発性のものかどうかをみていきます。

細隙灯顕微鏡と呼ばれる顕微鏡で角膜を観察します。また、フルオレセインという色素を点眼し、角膜上皮組織の欠損部分を染め出す「生体染色検査」も併せて行います。生体染色検査をすることで、傷の状態や潰瘍の広がり方、病気の進行度合いを直接みることができます。

視力検査と問診、細隙灯顕微鏡検査、この3つの検査を行えば、ほとんど場合角膜感染症の有無を診断することができます。

次に、原因病原体が何であるかを同定するための検査についてご説明します。

検体採取用の滅菌綿棒等で角膜の病巣部分を擦り取り、培養検査に出して菌の培養や分離(検体の中から原因菌を取り出すこと)を行います。検体採取の際には点眼麻酔を使用しますので、綿棒の擦過による痛みはほとんどありません。

大学病院や総合病院など、院内に細菌検査室がある施設では3~4日、外部の検査機関に検体を提出する場合は1週間程度で結果がわかります。検体採取をすることで、原因となっている菌が何であるか、どのような薬が有効か(感受性があるか)がわかります。

コンタクトレンズが原因と考えられる場合、眼科でコンタクトレンズそのものや保存液を検査することもあります。これらの中から角膜感染症の原因となっている病原体をみつけ出せることもありますので、捨てずに保存しておき、クリニックに持参するのもよいでしょう。

 

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