インタビュー

びまん性汎細気管支炎とは

びまん性汎細気管支炎とは
工藤 翔二 先生

公益財団法人結核予防会 理事長

工藤 翔二 先生

この記事の最終更新は2016年03月30日です。

咳が長引いたり、痰が出続けたりすることはみなさんも経験がある症状ではないでしょうか。多くは風邪が原因であることが多いのですが、放っておくと死に至る病気もあります。ここではその病気の一つである「びまん性細気管支炎(はんさいきかんしえん)」について公益財団法人結核予防会 理事長の工藤翔二先生にお話し頂きました。

びまん性汎細気管支炎(Diffuse panbronchiolitis:DPB)とは、呼吸細気管支(こきゅうさいきかんし:気管支が16回枝分かれをしてだんだん細くなり、小気管支→細気管支→終末細気管支になります。その終末細気管支から先も枝分かれして、呼吸細気管支→肺胞管→肺胞という小さな袋になります)の領域に慢性の炎症が起こる、難治性の呼吸器の病気です。長引く咳と痰が多く出るのが特徴です。

このびまん性汎細気管支炎は、1969年に本間日臣先生・山中晃先生によって「一疾患である」と提唱されました。また、症状が似ている病気の気管支拡張症(気管支が拡がって元に戻らない病気)や、慢性気管支炎(咳と痰が出る症状が長く続く状態)とは別の、独自のカテゴリーとして定義づけられ、1983年に英語の論文となって報告されました。

多い人では一日に約300ml、つまり牛乳瓶2本分もの黄色い痰が出て、しばしば100mlの痰が出ます。感染を起こしていることが原因で、非常に過剰な分泌が起こります。

気道閉塞(気管支が狭くなるため空気が通りにくくなること)や、気道への細菌感染も加わって、咳が長引き、運動時に息切れを起こし、病気が進行するにつれ呼吸困難も引き起こすようになります。

80%以上の患者さんで慢性副鼻腔炎との合併症がみられ、鼻づまり・黄色い鼻水が出る・嗅覚の低下などの症状が現れます。

●胸部CTの場合

小葉中心性粒状影が認められる(肺の中の肺小葉という部分の中心部分に直径数ミリ以下の顆粒状の陰影が多数見られる状態)

●胸部 X 線写真の場合

肺過膨張(肺が膨らみきった風船のような状態になること)やびまん性散布性粒状影(肺全体に顆粒状の陰影が散らばって見られる状態)が認められる

●肺機能検査

気流閉塞(空気の通り道である気道・気管支が狭くなり、息を素早く吐き出せなくなること)

●喀痰検査

菌など感染している細菌が確認できる

●血液検査

・寒冷凝集反応(低温で血球と結合して凝集を起こし,高温ではずれる「寒冷凝集素」と呼ばれる抗体)が高値を示す

・しばしばHLA(Human Leukocyte Antigen=ヒト白血球抗原)がB54を示す

また、喫煙しているか否かをお聞きします。喫煙している場合はCOPD(参考記事:COPDとはー息を吐き出すことが困難となる疾患「COPDの治療法。禁煙と薬物治療で進行を抑えよう」)

さらに、DPBは副鼻腔気管支症候群(参考記事:副鼻腔気管支症候群について:「咳が止まらない——長引く咳の原因は様々。放置は危険な場合も」)の一つなので、慢性副鼻腔炎をお持ちであるかもお聞きします。

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