インタビュー

DBSの手術で実際に行われること

DBSの手術で実際に行われること
片山 容一 先生

青森大学 脳と健康科学研究センター長、青森新都市病院 総長、日本大学脳神経外科 名誉教授

片山 容一 先生

この記事の最終更新は2016年03月26日です。

脳の深部に電極を埋め込むDBS手術は、実際にどのように進められるのでしょうか。脳神経外科医師、湘南医療大学副学長の片山容一先生に入院から手術方法、その後の装置の管理方法までうかがいます。

片側だけ刺激する患者さんもいらっしゃいます。実は、手術は麻酔をかけたり醒ましたりを繰り返しながら進められますが、定位脳手術を行う際に頭蓋骨に装着する枠のような装置が痛かった、という手術後の訴えはあるものの、患者さんが負担を訴えることはほとんどありません。

手術後、入院期間は1週間程度です。その1週間の間に、どれぐらいの強度で、どれぐらいの周波数で、どの電極を使って刺激をすればその患者さんの症状がもっとも改善されるかを見つけ出すための調整を行います。退院後も外来に通いながら調整を行いますが、遠方の方の場合通院が難しい方もいらっしゃいますので、少し入院期間を長くとり十分に調整を行ってから退院していただくこともあります。

患者さんの症状によって目的の部位も少しずつ異なるため、正確な場所が分わかる神経ナビゲーションシステムなどを利用します。

はじめに、MRIで撮影した脳画像を3次元座標に反映しターゲットの「位置」を決定します。次に、その3次元座標上で位置を確認したターゲットが本当に目的の働きをしている(不随意運動を起こしている)場所かどうか、周辺の何十マイクロメートルという小さな神経細胞の活動を神経モニタリングで記録しながら、「機能的」にもターゲット部位を確定していきます。

頭蓋骨と脳の間に装置を埋め込むイメージ
頭蓋骨と脳の間に装置を埋め込むイメージ。頭頂部に近い部分から白く2本脳の深部に向かっているのが電極。その先端が刺激部位で胸に埋め込んである装置で電気を流す。

電圧でいうと、1ボルト程度です。豆電球が1.5ボルト程度なので、非常に弱い電力しか使用しません。もちろん、装着している患者さんも皮膚で電気を感じるようなことはありません。

基本的には、ずっと継続的に信号を送り続けます。

パーキンソン病ジストニアの場合、「持続的」刺激を送らなければ治療効果を出せません。病気によっては「間欠的(一定の時間を置いて流したり止めたりする)」刺激を用いることもあります。

ジストニアの場合、早い方で2~5年程度のサイクルで交換が必要になります。パーキンソン病の場合、ジストニアで使用するものほど電圧が高くないため、使用電力が少なくバッテリーが長持ちします。長い方で10年程度であり、もっと短いサイクルになる方もいらっしゃいます。交換時期は、定期的に装置の調整のために通院するなかで医師が見極めますので、日常生活において突然装置が動かなくなるということは起こりません。

以前は、電車などに乗ると電子機器が心臓のペースメーカーなどの妨げになるため電源を切るように啓発する広告をよく目にしました。しかし、それにより実際の事故が起こったという報告は、実はありません。

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