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インタビュー

卵巣がんの症状-早期発見のためにわたしたちができることは

卵巣がんの症状-早期発見のためにわたしたちができることは
加藤 友康 先生

国立がん研究センター中央病院 婦人腫瘍科 医師

加藤 友康 先生

この記事の最終更新は2016年04月19日です。

卵巣がんは初期ではほとんど自覚症状がありません。また症状がでた場合でも、卵巣がんに特有の症状ではないため、卵巣がんと気づくことが難しい場合がほとんどです。そのため「サイレントキラー(沈黙の殺人者)」と呼ばれ、高血圧と同様に危険を自覚しないまま放置され、知らないうちに進行して突然命をおびやかす病気といわれています。本記事では、卵巣がんの症状について、早期発見のためにわたしたちができることについて、国立がん研究センター中央病院 婦人腫瘍科科長 加藤友康先生にお話しいただきました。

進行している場合には、腹痛、腹部に圧迫感がある(腹部膨満感)、便通異常、膀胱が圧迫されて尿が近くなる(頻尿)などの症状が現れる場合があります。また、おなかの中にがんが広がることでおなかに水が溜まって腹部全体が張る(腹水)、胸にまでがんが広がることで胸に水が溜まって(胸水)息切れがするといった症状がでる場合もあります。しかしながら、腹痛や頻尿などは卵巣がんに特有な症状ではないため、卵巣がんと気づかないケースがほとんどです。

また卵巣がんになっても、閉経前の女性では排卵が起こり、生理が来ます。生理が順調だからといって、卵巣がんではないとは限りません。一方、閉経後の女性に突然生理のような出血がくるというケースがあり、この場合は異変に気づくことが可能です。卵巣はもともと女性ホルモンを分泌する臓器ですが、腫瘍自体がホルモン分泌能をもつことがあります。その場合、卵巣腫瘍から分泌されたホルモンに子宮内膜が反応して厚くなり、閉経後の女性に生理様の出血を起こすことがあるのです。

転移とは、がん細胞がリンパ液や血液の流れに乗って別の場所に移動し、そこで増殖することをいいます。特に早期に転移するのが上皮性がんの漿液性がんです。卵巣がんの場合、腹腔内(おなかの中)の臓器にがん細胞が散らばっていく播種(はしゅ)という転移がほとんどです。

卵巣がんの検診は国や自治体の補助では行われておらず、自費で行う人間ドックなどの任意検診を受けることになります。検診では、経腟超音波検査、腹部CTや骨盤MRIなどの画像診断や、血液検査などを受けられるとよいでしょう。子宮頸がん子宮体がんなどの他の女性検診に追加する形で受けられるのをお勧めします。

先述したとおり、卵巣がんの5〜10%に遺伝的要因があります。親戚に乳がんや卵巣がんの方がいるかどうか、家族歴を知っておくことは重要です。もし複数いらっしゃる場合は、定期的な検診や遺伝子検査を受けることを考慮するのがよいでしょう。お近くのがん拠点病院に相談されることをお勧めします。

卵巣にできる子宮内膜症をチョコレート囊胞といいます。卵巣がんはチョコレート囊胞を母地として発生する場合があります。チョコレート囊胞の代表的な症状に痛みがありますが、45歳を過ぎると徐々に月経の回数が減るため、痛くなる頻度も少なくなります。痛みが強いうちは、多くの方が産婦人科などに通い、定期的に子宮や卵巣の様子を観察されます。しかし痛みの機会が減ると病院に通わなくなる方が多くなり、卵巣がんを早期に発見する機会が少なくなります。卵巣子宮内膜症(チョコレート囊胞)の方は、症状が軽くなった場合でも半年〜1年に一度、定期的に観察することが重要です。

白い部分:チョコレート嚢腫、お腹側(上)に黒い結節:明細胞性がん(加藤先生提供・MRI画像)
白い部分:チョコレート嚢腫、お腹側(上)に黒い結節:明細胞性がん(加藤先生提供・MRI画像)
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