インタビュー

よく出会う眼科疾患

よく出会う眼科疾患
加藤 浩晃 先生

京都府立医科大学 眼科学教室、京都大学医学教育推進センター

加藤 浩晃 先生

この記事の最終更新は2016年04月16日です。

では医師は日常的にどんな眼疾患に出会っていることが多いのでしょうか?今回は実際によく出会う眼疾患について、京都府立医科大学の眼科専門医である加藤浩晃先生に引き続きお話をお伺いしました。

炎症が生じるとこの白目(結膜)が赤くなり、結膜炎を疑います。原因としては花粉などのアレルギー性やウイルス性、細菌性などが考えられます。症状としては目の充血・目ヤニ・異物感・ゴロゴロ感などがあります。

この中でも特に注意する必要があるのは、ウイルス性結膜炎です。ウイルス性結膜炎は感染部位に触れることでうつります。例えばウイルス性結膜炎になった人が眼をこすった手でドアノブを触り、そのドアノブを他の人が触る。そしてその人が自分の眼をこすると感染する可能性があります。このように感染が広がっていくため、集団感染・大量感染の危険性があります。原因ウイルスにはアデノウイルスやコクサッキーウイルス・エンテロウイルスなどがあり、ウイルス性結膜炎の特徴としては朝起きた時に大量の目ヤニが出ていたり、耳の前あたりのリンパ節が腫れていることがあります。

治療としては、ウイルス性結膜炎に対して効果のある目薬はありません。時間が経ってウイルスが死んでいくのを待つ必要があります。そしてその間は他の人にうつらないよう、感染予防対策を徹底することが大切です。タオルは個々人で別のものを使う・お風呂は最後に入る・手洗いを徹底するといった生活習慣を心がけてください。

これは白目の下に出血が生じた疾患で分かりやすく言うと白目の内出血のような疾患です。結膜下出血は原因不明なことが多く、ほとんどの方では無症状で痛みもありません。他の人から指摘され、気がつくと目が赤くなっていて驚かれる方も多いのですが、結膜下出血は心配しなくてはいけない重篤な疾患ではありません。特に目薬による治療の必要もなく、2~3週間程度で自然と出血が吸収され、元の白い目に改善されますので安心してください。

一般には「ものもらい」としても知られている疾患で、主に黄色ブドウ球菌の感染が原因となります。症状としては、眼瞼の縁が赤くなって腫れ、痛みを伴います。治療としては、抗菌薬の点眼や内服を行います。の量が多く重度の場合は、膿を出す切開排膿を行うこともあります。

白目(結膜)の充血や眼の異物感、そしてなによりも黒目(角膜)に白い点ができるということが一番の特徴で、その白い点が細菌が感染している部位になります。主に黄色ブドウ球菌や緑菌・肺炎球菌といった細菌が原因菌となります。

治療としては抗菌薬の点眼の頻回点眼を行います。当然、コンタクトレンズの使用は中止です。しっかり治療をしないと視力障害や黒目(角膜)の濁りが残ることがあるので、ちょっと調子が良くなったからといって点眼をやめたり、眼科通院をやめたりしないようにしましょう。

ドライアイは、現在の分類では涙の産生が少なくなっている「涙液分泌不全型」と涙が乾きやすい「蒸発亢進型」の大きく2つに分類されています。症状として乾燥感・異物感・眼精疲労などを感じることが多く、パソコンで仕事をする人が多い現代では非常に増えてきている眼疾患でドライアイの国内推定患者数は1000万〜2200万人とも報告されています。ドライアイによる労働生産性の低下率を日本人1人当りの平均勤務時間に換算してみると、約3日間/年欠勤しているのと同様の損失時間が認められたという研究結果も出ています。

治療としては、まずは直接エアコンが当たらないように、部屋の湿度を保ってもらうようになど、環境を整えてもらい、そして点眼としては人工涙液や角膜保護点眼・ドライアイ治療用の点眼を処方します。点眼で改善しにくい場合は涙液を排出する涙の出口である「涙点」を涙点プラグという栓で塞ぐ処置を行うこともあります。

※参考記事「ドライアイとは