インタビュー

副甲状腺機能亢進症とは-副甲状腺ホルモンが過剰に分泌される病気

副甲状腺機能亢進症とは-副甲状腺ホルモンが過剰に分泌される病気
冨永 芳博 先生

名古屋第二赤十字病院 内分泌外科部長

冨永 芳博 先生

この記事の最終更新は2016年05月06日です。

副甲状腺は人間の内中で最後に発見された臓器で、副甲状腺ホルモンを分泌します。副甲状腺ホルモンは体内のカルシウムやリンのバランスを調整する重要な役割を果たしています。本記事では、副甲状腺ホルモンのはたらきと副甲状腺機能亢進症について、名古屋第二赤十字病院 内分泌外科部長 冨永芳博先生にお話しいただきました。

1つの重さは、平均30〜60mgのごく小さい内分泌腺で、副甲状腺ホルモンを作っています。人によっては、副甲状腺が3つや5つ以上存在したり、縦隔(じゅうかく・左右の肺の間にはさまれた場所のこと)などに存在する場合もあります。副甲状腺は人間のからだの中で最後にみつかった臓器といわれています。また、3個以上も存在する臓器は他にはなく、人間のからだのなかでは非常に珍しく謎の多い臓器です。

カルシウムは人間の体内のミネラルのなかで最も多い栄養素で、その次がリンといわれています。リンはカルシウムの代謝と深く関係しており、カルシウムをコントロールすることが、結果的にリンをコントロールすることにもつながります。リンを過剰摂取するとカルシウムの吸収を阻害したり、体外へ排出する原因となります。このようなカルシウムとリンのバランスを保っているのが副甲状腺から分泌される副甲状腺ホルモンといえます。2つのミネラルのバランスが悪くなると、後述するようなさまざまな症状があらわれます(参考記事:「副甲状腺機能亢進症の症状-気づかずに過ごしている人も少なくない」)。副甲状腺ホルモンのカルシウムをあげるメカニズムは次のとおりです。

  1. 骨の代謝を促進させて骨のカルシウムを血液中にだします。また腎臓に作用してリンの再吸収を抑制し、カルシウムの再吸収を促して尿中への排泄を減らします。
  2. 腎臓でのビタミンDの活性化を促進します。活性型ビタミンDは小腸からのカルシウムの吸収を助けるので、血液中のカルシウム値が高くなります。

副甲状腺機能亢進症(hyperparathyroidism・HTP)の頻度は日本では2,500〜3,000人に1人といわれ、男女比は1:3で、特に閉経後の女性に多いとされています。副甲状腺機能亢進症は原因や病態などから次のように分類されます。

副甲状腺機能亢進症の分類
副甲状腺機能亢進症の分類(冨永先生資料 一部改変)

⑴原発性副甲状腺機能亢進症

副甲状腺そのものの異常によって副甲状腺ホルモンが過剰に分泌されます。過剰な副甲状腺ホルモンによって、骨からカルシウムが血液中に溶けだし、血液中のカルシウム値が高くなり、その結果尿中に多量に排泄されます。

⑵二次性(続発性)副甲状腺機能亢進症

副甲状腺に刺激を加えるなんらかの原因によって、副甲状腺ホルモンが過剰に分泌されます。その主な原因は慢性腎臓病CKD)です。

⑶三次性副甲状腺機能亢進症

二次性(続発性)副甲状腺機能亢進症の原因となる要因が腎臓の移植後も、持続する病態をいいます。

 

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