インタビュー

眼科手術の術前検査-必要な場合と、必要でない場合

眼科手術の術前検査-必要な場合と、必要でない場合

筑波大学附属病院 水戸地域医療教育センター  

梶 有貴 先生

徳田 安春 先生

群星沖縄臨床研修センター センター長 、筑波大学 客員教授、琉球大学 客員教授、獨協大学 特任...

徳田 安春 先生

Choosing Wisely

この記事の最終更新は2016年05月14日です。

白内障などの眼科手術をする際、いくつかの術前検査を受ける場合があります。例えば心臓の状態を知るために行う心電図や、貧血かどうかを知るために行う採血検査(特に全血球算定検査)などです。

これらの検査を受けることで手術がより安全になることもあります。例えば、手術を延期・変更させるような医学的な異常がみつかる場合があります。しかし多くの場合、眼科手術の前にはこれらの検査を受ける必要はありません。以下にその理由を示します。

一般的に、白内障や他の眼科手術では心筋梗塞のような合併症の危険性はほとんどなく、それ以上危険性を下げるためにできることもほとんどありません。眼科手術は短時間で終わり、麻酔も眼の局所麻酔だけで、リラックスするための薬を使うくらいです。

それでも多くの健康な人たちが眼科手術の前にこれらの決まった検査を受けています。しかし、検査を受けることで手術の内容が変わったり、安全性が高まるということはありません。

上記の検査自体は非常に安全ですが、誤った警告となる場合があります。余計な不安が増したり、より多くの検査につながったりすることがあり、そのために、不要に手術が延期されることもあります。一つの検査結果によって、同じ検査を繰り返したり、超音波検査、生検(体の組織を採る検査)、レントゲンやCTなどといった放射線を浴びる検査につながることもあるのです。

医学的に特に必要性がなければ、それらの検査にお金をかける必要はないのかもしれません。必要性が出てきたときにだけ、お金をかければよいのです。HealthcareBlueBook.comによれば、25ドルから50ドル(日本円で約2700円〜5500円)かるということです。

特定の健康問題や病気がある場合は、検査が必要になります。例えば、心疾患や胸痛・息切れのような症状があるときには心電図が必要になる場合もあります。糖尿病があれば、血糖管理の確認のため、血液検査が必要になるでしょう。

検査結果によっては、医師が手術や麻酔の方法を変更したり、術中や術後の特別な対応が必要になる場合もあります。また、問題が解決するまで手術が延期になるかもしれません。

<視覚を守るにはどのようにすればよいか?>

●適切な食事

特定の食物を摂取することで眼疾患の危険性を下げることができます。緑の野菜をふんだんに摂り、魚、果物、ビタミンやミネラルに富んだ食材を食べるようにしましょう。

●運動

週の大半は、歩行のような有酸素運動を1日30分行うことを目指しましょう。定期的な運動は眼疾患を予防し、悪化を防ぎます(※ただし心血管疾患や重度な肝臓・腎臓の障害、重度の網膜の病気[糖尿病網膜症など]を指摘されている方は主治医と相談して行ってください)。

●余分な体重を減らす

肥満は白内障、緑内障やその他の眼疾患の危険性を増加させます。

●血圧、血糖、コレステロールの管理

これらの数値が高いと、眼の後方にある血管が障害される場合があります。数値が高い方は医師と相談しこれらの値を調節するようにしましょう。

●眼を保護する

紫外線から眼を守るためにサングラスや日よけ帽を被りましょう。これにより白内障の発症を遅らせ、その他の眼疾患の危険性を下げるのにも有用です。また眼の損傷を防ぐため、作業工具やスポーツをする際には防護眼鏡をつけましょう。

禁煙

喫煙は白内障や他の眼疾患の危険性を増加させます。

●定期的に眼の検査を受ける

糖尿病がある方や、65歳以上の方であれば定期的な眼の診察を受け視力の低下や眼の病気がないか確かめておくべきです。以下のどちらかの眼科医に診てもらいましょう。

★眼科医:医学的、手術的な問題を専門とする医師です。

★検眼医:診断といくつかの眼科疾患の治療をする訓練を受けている医師ですが、手術する資格は持っていません(※なお日本にはそういった資格はありません)。

 

※本記事は、徳田安春先生ご監修のもと、米ABIMによる “Choosing Wisely” 記事を翻訳し、一部を日本の読者向けに改稿したものです。

翻訳:Choosing Wisely翻訳チーム 大阪大学医学部付属病院 佐竹祐人

監修:梶有貴、徳田安春先生

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  • 群星沖縄臨床研修センター センター長 、筑波大学 客員教授、琉球大学 客員教授、獨協大学 特任教授、聖マリアンナ医大 客員教授、総合診療医学教育研究所 代表取締役、Choosing Wisely Japan 副代表、Journal of General and Family Medicine 編集長

    徳田 安春 先生

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  • 筑波大学附属病院 水戸地域医療教育センター  

    日本内科学会 認定内科医日本感染症学会 会員

    梶 有貴 先生

    初期診断能力、初期治療能力に加え入院患の急性期・亜急性期の診断・管理も請け負う「病院総合医」の能力をもった、「日本型病院総合医」を目指すべく筑波大学附属病院水戸地域医療教育センター・水戸協同病院に勤務。若手医師をリーダー的立場から牽引している。Value Based Medicineを推進する立場から、この度Choosing Wisely翻訳プロジェクトに参画。

  • 群星沖縄臨床研修センター センター長 、筑波大学 客員教授、琉球大学 客員教授、獨協大学 特任教授、聖マリアンナ医大 客員教授、総合診療医学教育研究所 代表取締役、Choosing Wisely Japan 副代表、Journal of General and Family Medicine 編集長

    日本内科学会 総合内科専門医日本プライマリ・ケア連合学会 指導医・プライマリ・ケア認定医

    徳田 安春 先生

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