インタビュー

地域医療を支える施設間交流-交流があるからこそできる役割分担

地域医療を支える施設間交流-交流があるからこそできる役割分担
篠崎 浩治 先生

済生会宇都宮病院 外科

篠崎 浩治 先生

この記事の最終更新は2016年06月03日です。

済生会宇都宮病院では、地域医療を担う中核病院として同じ栃木県内の大学病院とも人的交流を通して連携をはかっています。中でも自治医科大学消化器外科学教室とは10年来積み重ねてきた良好な関係があります。地域医療の中でこうした連携はどのように役立っているのでしょうか。済生会宇都宮病院外科主任診療科長の篠崎浩治先生にお話をうかがいました。

済生会宇都宮病院外科は慶応義塾大学の関連病院であり、スタッフの大半は慶応義塾大学より派遣されています。人材面ではその関係がもっとも太いパイプラインとなっていますが、我々は地域の医療を担っていくために地元の大学病院との連携にも配慮して良好な関係を構築しています。

現在、我々の外科には同じ栃木県にある自治医科大学消化器外科学教室から常時2名の医師を派遣していただいています。また、ここ数年は同じく獨協医科大学の心臓血管外科からも毎年レジデント(研修医)として一般外科の研修に来ていただくという関係が続いており、お互いの施設の連携という面でこうした交流が役立っています。

たとえば自治医科大学の消化器外科からはスタッフとレジデントを1名ずつ派遣していただいていますので、彼らを通じて自治医科大学では地域のがん患者さんの受け入れに最大限努力しているという現状を知ることができます。そして彼らが自治医科大学に戻れば、今度は我々の救急の現状がわかっていますから、たとえば既に手術が入っていてどうしても受け入れることができなかった患者さんが搬送されてきたときにも、本当に無理なのだということを理解して協力してもらうことができます。

その逆に自治医科大学で手一杯だということで要請があれば、我々のところで一緒に仕事をして現状を知っている間柄なのですから、今は本当に対応が難しいのだということをこちらも理解できます。それは彼らがここで救急も含めた第一線の診療を経験したからこそ共有できることです。自治医科大学とはこうした連携がもう10年以上にわたって続いており、地域の中でお互いにうまく役割を分担していくことが医療ニーズに対応する上で重要であると考えています。

一般的な考え方として手術を必要とされる患者さんが大学病院で受け入れられない場合、一般病院に来るという流れは比較的少なく、医療機関の整備がされている東京などの大都市圏であれば稀なことだと思います。手術など大きな治療が終わった後に後方病院として患者さんを一般病院に送ることはあっても、急性期で治療が必要な患者さんが大学病院から一般病院に送られてくるというのは、通常とは逆の流れです。しかし大都市圏と違って、この地域ではそれはありうることなのです。

この地域で発生するあらゆる患者さんに対応するためには、お互いの事情も理解した上でなければできないようなことも行っていく必要があります。医療の質を確保した上で数的にも対応が求められ、限られた医師数でその需要に応じるには地域全体で対処していかなければなりません。

そのために慶應義塾大学病院の医局と自分たちとの関係だけではなく、地域の大学病院とも交流して連携をはかるということを約10年かけて積み重ねてきました。その歴史があるからこそ、今の良好な協力関係を築くことができています。共に地域の医療を担うという責任を果たすためにも、施設間の地域協力をすすめてくことができればと考えています。

 

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