インタビュー

済生会宇都宮病院で対応する小児の心臓疾患-その大きな特徴とは?

済生会宇都宮病院で対応する小児の心臓疾患-その大きな特徴とは?
高橋 努 先生

済生会宇都宮病院 小児科 主任診療科長

高橋 努 先生

この記事の最終更新は2016年06月23日です。

済生会宇都宮病院は心肺停止など重篤な患者さん含めたすべての患者さんを受ける3次救急を担っており、あらゆる病気の患者さんを受け入れているという特色があります。その中でも小児のさまざまな心疾患に対応できるという強みを持っています。済生会宇都宮病院小児科で対応している小児の心臓疾患について、主任診療科長の高橋努先生にお話をうかがいました。

済生会宇都宮病院は古くから小児循環器疾患を得意としており、心臓カテーテルの検査・治療のほか、外科の医師による手術も可能ですので、一般的な市中病院と比べても心臓疾患の患者さんが多いという特徴があります。

大学病院やこども病院を除く市中病院・一般病院では、心臓のカテーテル検査や手術まで対応しているような施設は非常に限られますが、済生会宇都宮病院はその限られた病院のひとつです。すべての心臓病ではありませんが、大学病院へ依頼しなくても治療を完結できるという点が非常に大きな特徴です。

小児の心臓病は先天性と後天性の2つに大きく分けられます。いわゆる先天性の病気は生まれついての構造の異常です。済生会宇都宮病院で扱っている病気では、たとえば心室中隔欠損症(しんしつちゅうかくけっそんしょう)という、病気があります。これは子どもの先天性心疾患でもっとも多いものです。

他には動脈管開存症(どうみゃくかんかいぞんしょう)や年長児で多い心房中隔欠損症(しんぼうちゅうかくけっそんしょう)があります。動脈管開存症はカテーテル治療(コイル塞栓術)も行っています。

また、弁の病気では肺動脈弁狭窄症(はいどうみゃくべんきょうさくしょう)があります。重篤な患者さんには乳児期にバルーン拡張術という治療を行います。手術よりカテーテル治療が第一選択になる方が多く、この治療も我々のところで行うことが可能です。

他にもさまざまな種類の複雑な心臓病があります。代表的なものにファロー四徴症(ふぁろーしちょうしょう・心室中隔欠損、肺動脈狭窄、右室肥大、大動脈騎乗の4つの特徴を持つ先天性心疾患)や、単心室(たんしんしつ・体循環と肺循環を機能的にひとつの心室のみに依存する血行動態を有する疾患)という病気がありますし、いくつかの病気が複合することもあります。

たとえば、単に心臓の壁に穴が開いているというような心疾患ではなく、複数の問題を抱えている患者さんの病態を複雑心奇形(ふくざつしんきけい)といいます。そのような患者さんについては、初期治療の部分はすべて我々のところで対応させていただいていますが、手術に関しては埼玉県日高市にある埼玉医科大学国際医療センターに依頼することが多いです。また、同じ栃木県内の自治医科大学附属病院に依頼することもあります。

あえて他県の埼玉医科大学国際医療センターに手術を依頼しているのはなぜかというと、日本小児循環器学会で認定している修練施設群は、隣接する都道府県であれば連携がとれる制度になっています。済生会宇都宮病院は慶應義塾大学病院の関連病院ではあるのですが、東京都との間に埼玉県を挟んでいるので、慶應義塾大学病院とは施設群として連携することができません。

埼玉医科大学国際医療センターの心臓外科には慶應義塾大学出身の先輩医師がいますし、非常に実績のある病院ですので、施設群として連携をさせていただいています。患者さんにとっては少し遠くまで行っていただくことになるのですが、そこで手術を受けていただき、術後少し落ち着いたところで術後の経過をこちらで見せていただくことが多いです。

心内修復術(しんないしゅうふくじゅつ)と呼ばれるような、赤ちゃん(新生児)に人工心肺をつけて行う専門性の高い手術では、安全性や専門的な環境という面でスタッフやコメディカルも含めて人工心肺を扱える施設が必要であり、その点は他施設に手術を依頼している大きな理由になっています。ただし、乳児期以降の手術であれば心室中隔欠損症など、済生会宇都宮病院でも対応できる病気はあります。

 

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    高橋 努 先生

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