インタビュー

大人と子どもの歯列矯正――メリットや受け口の治療、矯正歯科を選ぶポイント

大人と子どもの歯列矯正――メリットや受け口の治療、矯正歯科を選ぶポイント
上里 聡 先生

医療法人社団ゆずか こうざと矯正歯科クリニック 理事長

上里 聡 先生

この記事の最終更新は2016年11月30日です。

歯並びを治療したいと考えるとき、思い浮かぶのは歯列矯正です。しかし「何を基準に歯科を選べばいいのか」「自分の歯並びは相当悪いが、矯正で治るものなのか」「自分にはどの治療方法がベストなのか」「歯列矯正は子どものころにやっておくべきで、大人になった今からだと遅すぎるのではないか」などさまざまな疑問をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。そこで大人と子どもの矯正のメリットや受け口の治療、矯正歯科を選ぶ際のポイントまで、香川県坂出市のこうざと矯正歯科クリニック院長 上里(こうざと )(さとし)先生にお話を伺いました。

よく「矯正は子どものうちに」と言われますが、大人になっても歯茎と歯槽(しそう)さえ健康であれば矯正を行うことができます。単純に審美的に歯並びをきれいにするのであれば、いつ矯正を始めていただいても大丈夫です。

しかし私が子どものころからの矯正をおすすめする理由は、審美的な問題より機能的な問題を改善することが幼少期においては重要だと考えるからです。

子どもの矯正のメリットは、“正しい歯並びでちゃんと噛める”という機能的な改善が期待できることです。

歯並びは子どもの成長に影響することをご存じでしょうか。歯並びが悪いと十分な歯磨きができずに虫歯や歯周病になりやすいという口腔内の問題だけでなく、ストレートネックや胸椎(きょうつい)の湾曲、顔のゆがみ、発音(滑舌)の悪さなど、全身に影響を及ぼします。また頭痛や肩こりに悩まされ、集中力が保てない原因になることもあります。

全身に影響するということからも、歯並びを治して幼少期から正しく噛めるようにすることは子どもの発達にとても重要です。

子どものころに矯正をしていったんきれいな歯並びを手に入れても、その後の生活習慣や口腔環境の悪化によって歯並びが元に戻る(後戻り)ことがあります。そうならないためには、頬づえをつかないなど正しい姿勢の維持に努める、再度歯並びが悪くなる前に親知らずを抜いておく、定期的に歯科でチェックしてもらう、などが大切です。

子どもの受け口は、骨の成長を利用しながら矯正することができます。そのためほとんどの場合は外科手術をともなわず、お子さんの体への負担が少ない点が特徴です。矯正装置を使って上あごの大きさを広げる拡大装置、ゴムで牽引して上あごを出す顎間(がくかん)ゴムやフェイスマスクによる矯正によって、あごを正常な大きさや位置にすることで受け口を治療します。

親御さんからしてみると、「子どもが将来受け口になるのは嫌だけど、そもそも受け口になるかも分からないのに矯正するのはどうか」「受け口になってから矯正すればいいのではないか」と思われるかもしれません。下記に述べるように大人になってからも受け口の矯正は可能です。しかし、子どものうちに治療しておくほうがずっと簡単です。

気になる親御さんは、放置せず、まず矯正歯科医に相談してみることをおすすめします。

大人の受け口の治療は、子どものように骨の成長を利用して行うことはできませんが、外科矯正によって改善することができます。受け口の治療の前にはまずあごの骨の大きさを確認します。下あごが大きい、上あごが小さいという場合は外科手術で骨の大きさを調整し、きれいな歯並びにするために必要なスペースを作ります。

なかには一般歯科と一緒に矯正歯科を標榜(ひょうぼう)している歯科もあります。しかし専門的に学び、矯正治療の経験が豊富な医師のいる矯正歯科を選ぶかどうかが、納得のいく矯正になるかどうかのポイントだと思います。

実際、矯正歯科の専門医は矯正のプロですから、安心して任せられると思います。また、日本矯正歯科学会などでは認定医の制度もあります。認定医の資格を持っているかどうかも判断の参考になるでしょう。

その医師が大学病院などできちんと矯正の専門のトレーニングを受けているかどうかが矯正の診断・治療技術の差につながっていくと思います。患者さんの抱えている課題が重度であるほど、正確な診断は特に重要です。外科治療を行うか否か、どの矯正装置が適切かなどを決める際には、正確な診断が基準となるからです。

また、最近ではコンピューターシミュレーションシステムによって事前に矯正装置の位置をシミュレーションできるようになりました。そのため医師の技術そのものに対しては差が小さくなってきています。しかしながら、このコンピューターシミュレーションシステムを導入せずに医師が目分量で装置の位置づけを行っている歯科もあるため、その場合は依然として医師の確かな技術と経験が求められるでしょう。

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